自動車用語集 | た・ち・つ・て・と
た行
タービン |
流体を回転体に取り付けた翼にあて、流体の運動エネルギーを回転運動にかえる装置で、ラジアル式タービンと軸流タービンがあり、クルマでタービンといえば普通ラジアル式タービンを指す。 |
タービンハウジング |
タービンホイールを包むケースで、排気ガスを均等に高速で噴出させるためかたつむり状になっており、高温にさらされるので熱変形や酸化を起こしにくい球状黒煙鋳鉄などの特殊耐熱鋳物で作られる。 |
タービンブレード |
ターボチャージャーのタービンホイールに取り付けられている羽のこと。 |
タービンホイール |
ターボチャージャーの部品で排気ガスの力で回転する羽根車。排気ガスの900℃にも達する高温に耐えるニッケル系の耐熱合金で作られ、毎分10万〜16万回転にも達するので重量アンバランスのない精密な加工が要求される。セラミック系新材料も開発されている。 |
タービンライナー |
トルクコンバーターの出力側に使われている羽根車。 |
ターボチャージャー |
ターボはタービン、チャージャーは詰めるものを意味し、排気ガスのエネルギーで排気タービンを回し、これに直結されたコンプレッサーで空気をエンジンに押し込んでパワーアップをはかる装置。機械駆動のスーパーチャージャーと区別するのに、タービンのついたスーパーチャージャーということからターボチャージャーと呼ばれるようになった。正確には排気タービン駆動過給機という。 |
ターボラグ |
ターボチャージャーでアクセルペダルを踏み込んだ瞬間から、エンジンの出力がドライボチャージャー付きエンジンの短所とされており、一般にエンジンの回転数が低いときにこれが大きい傾向がある。 |
ターポリン |
4輪駆動車やトラックの幌に使われている防水シート(防水帆布)のこと。 |
ターンシグナルスイッチ |
ターンシグナルランプを点灯するためのスイッチで、進行方向に合わせて右または左にオンし、ステアリングホイールを元の位置に戻す自動的にオフとなるのが普通。ディマースイッチと一体になっているものが多い。 |
ターンシグナルランプ |
方向指示灯。0.5〜1秒に一回点滅し、左右折や車線変更など車の進路を変える合図に使用されるアンバー(橙)色のライトで、保安基準では昼までも前後100mから点灯していることが分かることが要求されている。ディレクション・インジケーターランプ、あるいはライトが点滅することからフラッシャー、ウィンカーとも呼ばれる。緊急停車時の安全のため、前後左右の方向指示灯が同時に点滅するハザードフラッシャースイッチがつけられているのが普通。 |
ターンメッキ鋼板 |
防錆鋼板の一種でターンシートとも呼ばれ、ターン(鉛とすずの合金)をメッキした鋼板で、水を含む燃料に長期間ふれてもさびにくいことから、フューエルタンクに使用されている。 |
ダイアグノーシス |
医学用語で診断のことで、クルマの状態の診断や異常部分の発見を行うための装置や診断機能、診断方法などの総称。略してダイアクという。複雑化したエレクトロニクス・システムの故障個所を発見するために開発され、改良されたもので、装置を車載したオンボード・ダイアグノーシスと、必要に応じて装置をクルマに持ち込んで診断を行うアウトボード・ダイアグノーシスがあり、オンボード対応が次第に増えている。 |
ダイアゴナルタイヤ |
ダイアゴナルは斜めを意味し、クロスプライタイヤのこと。 |
ダイアゴナルリンク式サスペンション |
セミトレーリングアーム式サスペンションで、スイングアームの揺動軸の延長線が後車軸の揺動中心と交わるように配置されたもの。 |
ダイオード |
アノード(陽極)とカソード(陰極)の二つの端子を持ち、アノードからカソードへの片方にだけ電流を流す性質を持つ素子。シリコンの結晶に微量のインジュームを混入したP型半導体(Pはポジティブ:プラスの意味)と、シリコンの結晶に微量の砒素を混入したN型半導体(Nはネガティブ:マイナスの意味)を一つの結晶の中で接合したものをPN接合ダイオードといい、このダイオードがP→Nには電流を流すがN→Pには流さないという整流作用をもつ性質を利用する。 |
対向型キャリパー |
ディスクブレーキのキャリパーで、ディスクを挟んで向かい合ったシリンダーに油圧を送り、両側からパッドでディスクを挟みつける構造になっているもの。 |
対向式ワイパー |
ウィンドシールドワイパーを拭きパターンで分類したもので、2本のワイパーが向かい合って逆向きに動く形式のもの。 |
第5輪 |
試験用の自動車に牽引されるころがり半径の変化が小さい計測用の車輪のこと。四輪車に付けられる5番目の車輪ということからこのように呼ばれるもので、加速試験や制動試験などを行う場合、タイヤの滑りや荷重変動などによってクルマの速度計や距離計に誤差を生じるため、この車輪の回転数から正しい数値を得るもの。 |
対称リンク式ステアリングリンク装置 |
ステアリングリンケージの一つで、左右のナックルアームに別々につながれたタイロッドをリレーロッドで連結し、片方のタイロッドまたはリレーロッドを動かして操舵する方式のもの。リンクの配置が左右対称になっているのでこの名がある。 |
体積効率 |
エンジンの吸入効率。エンジンに吸入される混合気や空気の量は理論上排気量とエンジンの回転数から計算できるが、実際には吸入時の抵抗などによってこれより少ない量しか吸入できない。そこで実際に吸入される大気の重量を、エンジンの1サイクルあたりの行程容積から計算される吸入可能な大気の重量で割って吸入効率をあらわす。一般的なエンジンの体積効率は良い場合でも85〜90%といわれる。 |
代替燃料 |
石油系に変わる自動車用燃料の総称で、石炭液化油やオイルシェール油などの化石燃料と、植物の発酵などによって得られるアルコール燃料があり、ガソリンにアルコールを混入した燃料をアルコール混合ガソリンという。 |
大端部 |
コネクティングロッドのクランクシャフトへの取り付け部分のこと。 |
タイトコーナー・ブレーキング現象 |
センターデフのない4WD車が四輪駆動状態で走行する場合、駐車場などで小さいコーナー(タイトコーナー)を曲がるとき、前後と後輪の回転半径が異なるためブレーキがかかったように走りにくくなる現象。 |
ダイナフロー |
ATの一種で、1940年にGMがビュイックに装備して発売したもの。トルコンと前進2速にバックギヤを備えた遊星歯車式手動変速機を組み合わせたもので、同時に発売されたオールズモビル用の流体クラッチと前進4段に後退ギヤを加えた遊星歯車式手動変速機がセットになっているハイドラマチックとともに今日のATの原型といわれる。 |
ダイナミックダンパー |
振動吸入機構。ある振動数で大きく振れる系に、重り、ばねと狭義のダンパーの三つからなる系(ダイナミックダンパー)を取付け、全体の振動をおさえるもの。 |
ダイナモ |
発電機のこと。 |
タイミングギヤ |
クランクシャフトとカムシャフトの前端に取り付けられ、バルブの開閉のタイミングをクランクシャフトの回転と同期させるための歯車の総称。両者を結ぶのにタイミングチェーンを使うチェーン式、コグドベルトを使用するベルト式、伝達が確実なスパーギヤでつなぐギヤ式があるが、一般にチェーン式とベルト式が多く採用されている。カムシャフトはクランクシャフトの二分の一の回転数で回る。ギヤ式のタイミングギヤ。クランクシャフトからカムシャフトを駆動する一連のギヤ(ギヤトレイン)で、レーシングカー用エンジンに使用され、10枚以上のギヤが使われることもあり重量は重くなるが、高回転域での正確さと信頼性に優れている。 |
タイミングスプロケット |
タイミングギヤとして使われるスプロケットのこと。カムシャフトの駆動にローラーチェーン(タイミングチェーン)を使用するとき、タイミングギヤの歯車にチェーン用の鎖歯車(スプロケット)が使われ、これをタイミングスプロケットと呼んでいる。 |
タイミングチェーン |
クランクシャフトに取り付けられたタイミングスプロケット(クランクスプロケット)と、カムシャフトを回すタイミングスプロケットを結ぶ鎖(チェーン)で、ローラーチェーンやツースドチェーンが用いられる。チェーンの弛みを除き、振動や騒音を抑えるためチェーンテンショナー(張りを与えるもの)が設けられることが多い。 |
タイミングベルト |
クランクシャフトに取り付けられているタイミングギヤとカムシャフトのタイミングギヤを結ぶベルトで、オイルポンプなど補機の駆動にも使用され、ギヤと噛み合う歯(コグ)をもち、コグベルト(歯付きベルト)とも呼ばれる。ベルトはゴムとグラスファイバーなど伸縮しにくい繊維で作られ、軽く、静かで潤滑も不要ということからレシプロエンジンに広く使われている。 |
タイミングマーク |
エンジンの点火、燃料のインジェクション、バルブの開閉などのタイミングを知るためにエンジンの回転部分に付けられているマークで、タイミングギヤとつながった部品に付けられていることが多い。 |
タイヤ |
車輪の回りにはめられているゴムや鉄などで作られた環状のもの。産業車両などに使われるゴムだけでできたタイヤ(ソリッドタイヤ)もあるが、自動車ではホイールと組み合わせて使われる空気入りタイヤのことをいうのが普通。クルマと路面を結ぶ唯一の部品であり、車重を支え、駆動・制動力・横力などの力を伝え、路面からの衝撃を緩和するばねとダンパーの働きをする。クロスプライタイヤもあるが、現在はラジアルタイヤが主流。 |
タイヤ温度センサー |
タイヤのトレッド表面から放射される赤外線を検知して表面温度を測定するもの。レーシングカーでテレメーターと組み合わせると走行中のタイヤ温度を知ることができるので、タイヤに異常が起こって温度が急に上がるとこれを感知してピットに入るようドライバーに指示することができる。 |
タイヤ荷重指数 |
あるタイヤが負担できる最大荷重を0〜279の間の指数であらわしたもの。0が40s、279が136トンをあらわし、JATMAYEARBOOK(日本自動車タイヤ協会規格)に換算表が記載されている。 |
タイヤコード |
タイヤのカーカスはプライを何層にも重ねて作られているが、そのプライを形成するよりを与えられた繊維や金属の糸のこと。初期のコード材料はコットンだったが、現在ではナイロン、ポリエステル、ポリアミド、スチールなどが使用されている。 |
タイヤサイズ |
タイヤのサイズ表示には様々なものがあるが、一般にタイヤ幅、外径、リム径、タイヤ構造、速度カテゴリーなどによって示され、ISO規格に決められた方式への統一がはかられている。乗用車用のタイヤの代表的な例を示す。 |
タイヤスクラブ |
あるスリップアングルを持ってころがっているタイヤのトレッド接地面における微小な滑り。 |
タイヤ負荷率 |
タイヤが、その許容荷重に対してどの程度の荷重を負担しているかを比率で示すもの。あるサイズのタイヤが設計上負担できる荷重は空気圧によって決まり、その値は規格に定められている。そこで、ある空気圧のタイヤにかかっている荷重を、その空気圧で規格上許容される荷重で割って100倍すれば負荷率が得られる。 |
ダイヤフラム |
金属やゴムなどの弾性を持った薄い膜で区画を分けて仕切るもので、隔膜という。圧力の変化による変異をリンク、レバー、ギヤなどの拡大機構を介して伝え、これを表示したり、メカニズムの動力として利用する。エンジンの燃料計に多く使われており、チョークブレーカー、チョークオープナー、ダッシュポットなどにその使用例が見られる。 |
ダイヤフラム式燃料ポンプ |
機械式のフューエルポンプ。ダイヤフラムとこれを支えるスプリングからできており、エンジンのカムシャフトに取り付けられた偏心カムによってダイヤフラムを上下に動かしてポンプとして利用し、燃料を吸い込むバルブ(インレットチェックバルブ)と送り出すバルブ(アウトレットチェックバルブ)が交互に働いて燃料を送る仕組みになっている。 |
タイヤリム協会 |
通常TRAと呼ばれるアメリカのタイヤメーカーとホイールメーカーを中心とする関係団体によって構成される組織。タイヤ・ホイールに関連した様々な活動を行っているが、日本では毎年発行されるタイヤとホイールに関する規格「YEARBOOK」がよく知られている。 |
ダイヤル調整式ショックアブソーバー |
アジャスタブルあるいは可変式ショックアブソーバーとも呼ばれ、減衰力可変式ショックアブソーバーでショックアブソーバーに取り付けられているダイヤルを回して、あらかじめ設定されているいくつかの減衰力特性の中から一つを選択できるようになっているもの。調整をピストンロッドの上部を回すことによって行うロッドアジャスタブル式と、外筒に取り付けられているダイヤルを回すアームストロング式がある。 |
タイヤローテーション |
タイヤのトレッド摩耗を均一にするために装着位置を換えること。タイヤは位置交換しないで長期間使用すると片減り(偏摩耗)することがあるので、寿命(トレッドライフ)を延ばすため、乗用車では通常5千qごとに装着位置を換えることが望ましい。ラジアルタイヤでは一般に同じ側の前後で交換し、左右の交換(タイヤの回転方向が逆になる)は行わないよう推奨されている。 |
ダイレクト・イグニッション・システム |
気筒別独立点火装置。エンジンの各シリンダーごとにイグニッションコイルを設け、イグナイターの一次電流によってスパークプラグに直接(ダイレクト)二次電流を供給するシステム。点火のコントロールが正確にできると同時に、高電圧部分が短くなることから電流の損失や電波障害の発生をほとんどなくすことができる。点火のタイミングは、クランク角センサーからの信号などによってエンジンを制御するコンピューターが決め、ディストリビューターが不要となるのでディストリビューターレス点火装置とも呼ばれる。 |
ダイレクトOHC |
OHCエンジンで、バルブステムに取り付けられているバルブリフターをカムが直接(ダイレクト)押す構造になっているもの。直動式とも呼ばれる。 |
ダイレクト感 |
ダイレクトフィーリングともいい、車の運転している時の操舵感で、ステアリング操作がクルマの動きと直接(ダイレクト)につながっているように感じられること。逆にクルマの動きが鈍く、操舵系にゴムが入っているように感じられる場合はインダイレクトという。クルマの開発のテスト走行時によく用いられる言葉。 |
ダイレクトシフト |
フロアシフトでトランスミッションケースに直接(ダイレクト)チェンジレバーが取り付けられているタイプ。確実な操作が得られる利点があるが、レバーに振動が伝わりやすい傾向がある。 |
タイロッド |
ステアリングリンケージで左右のナックルアームを結ぶ(タイ)棒(ロッド)のこと。引き抜き鋼管が使われるのが普通。 |
タイロッドエンド |
タイロッドの両端(エンド)のこと。通常ボールジョイントが取り付けられている。 |
ダウンドラフト |
ドラフトは通風を意味し、キャブレターでベンチュリーを縦に配置して空気を上から下に通すことをいい、もっとも一般的なタイプで広く使われている。空気を横に通すものをサイドドラフトといい、マニホールドの比較的短いエンジンに採用されている。空気を下から上に通すアップドラフトもあったが、現在は使われていない。 |
ダウンフロー式ラジエター |
バーティカルフロー式ラジエターとも呼ばれ、ラジエターの上下にタンクを配置して水を上から下に流す方式。 |
隋円ピストンエンジン |
ホンダがモーターサイクル用に開発したUFO形状と呼ばれる隋円包線形状のピストンを持つ4ストロークDOHC8バルブのV4エンジン。1979年の世界GPにNR500用エンジンとして登場し、1992年にNR750に搭載して市販された。一般的な真円ピストンを持つ4バルブの2気筒を単気筒にまとめた形になっており、同じ排気量の2気筒の場合に比較して燃焼室のS/V比が小さく、バルブの有効開口面積が大きい、ピストンの周長が短いなど高回転に有利な特徴を持つ。 |
多気筒エンジン |
シリンダー数の多いエンジン。気筒はシリンダーのことで、シリンダーが一つのエンジンが単気筒エンジン、二つ以上のエンジンが多気筒エンジンだが、通常多気筒エンジンといえばシリンダー数8以上のエンジンを指す。マルチシリンダーエンジンともいう。 |
多球型燃焼室 |
シリンダーヘッド内面が数個の球を集めた複雑な形になっている燃焼室。半球型燃焼室を圧縮過流が発生しやすいように改良したものでマルチバルブエンジンに適用されるが、加工が複雑になりサーフェス・ボリューム・レシオが大きくなるのが難点。 |
タコグラフ |
自動車の運行状況を連続的に記録する装置。スピードメーターと時計を組み合わせ、白い塗料を塗った円盤状の記録用紙を時計で回し、速度計と連動して動く針の先で塗料を削って時刻と速度をグラフに記録するようになっている。タクシーやトラック、バスなどの営業車に多く装備されている。 |
タコメーター |
エンジンの回転数を表示する計器。指針で示すアナログ式と、数字が表示されるディジタル式がある。ガソリンエンジンではイグニッションコイルからパルス信号をとり、コイル式の電流計を使ってアナログ表示するものが多い。 |
タックイン |
コーナリング中に急にアクセルペダルを戻したとき、クルマが旋回方向の内側に向く現象。フロントタイヤに働く横向きの力が大きくなったために発生する現象で、前後の荷重移動の大きいクルマや、サイドフォースが荷重変化やアライメント変化によって変わりやすいタイヤが装着されている場合に起こることがある。また、FF車で限界に近いコーナリング中に駆動方向に使われていたタイヤのグリップ力が横力に変わることによって発生する場合もある。 |
ダックテール |
クルマの最後尾が、あひる(ダック)の尾(テール)のように跳ねあがった形のこと。ボディの下面の気流を抜けやすくして地面効果を得ると当時にテールの先端の気流を剥離させることによって空気抵抗を減らすもの。 |
ダッシュボード |
フロントボディと車室を区切る隔壁のこと。馬車で御者の足元にある泥よけから来た用語で、イギリスでダッシュパネルあるいはバルクヘッドとも呼ばれ、アメリカではファイアーウォールと呼ばれることもある。直訳すると突進する(ダッシュ)板(ボード)。なおインストルメントパネル(計器盤)を指すこともある。 |
ダッシュポット |
あるメカニズムの急激な動きを緩和する装置の一つ。油や空気などの流体を入れたシリンダーと小さな穴も持つピストンからできており、ピストンを動かした時に穴を通過する流体の粘性抵抗を利用して装置の運動を緩慢にするもの。スロットルリターン・ダッシュポットに使用例がある。 |
タッピンねじ |
めねじを使わず、小穴にねじ込むタイプの小ねじのこと。 |
縦置きエンジン |
クランクシャフトがクルマの前後方向に一致するように縦におかれたエンジンのこと。一般的なエンジンの搭載方法として長く使われてきている。 |
多板クラッチ式LSD |
カム式多板LSD、パワーロック式LSDなどとも呼ばれ、トルク比例式LSDの一種。通常の差動装置ではサイドギヤは左右の車軸に直接つながれているが、このLSDではサイドギヤとデフケースの間に多板摩擦クラッチが設けられている。左右のホイールの駆動力が異なると、駆動力の大きい側のサイドギヤを押す力が生じるようにピニオンギヤのシャフトの形が工夫されており、一方のホイールが空転すると、ピニオンシャフトの働きで他方(タイヤがグリップしている側)のサイドギヤが押され、クラッチがつながって駆動トルクを多く伝える仕組みになっている。 |
多板式LSD |
リミテッドスリップデフの一種。油圧でピストンを押して多板クラッチの摩擦トルクをコントロールし、差動制限力を発生させてLSDとして働かせるタイプのもの。油圧源としてオートマチック・トランスミッションの油圧を利用する便宜上、もっぱらAT車に採用されている。同様に多板クラッチが使われるが、コイルスプリングやコニカルスプリングのばね荷重によってこれを押し、その摩擦トルクを差動制限力として利用する形式のものは予圧式LSD、差動ギヤによって差動制限力を得るものはトルク比例式LSDと呼んで区別している。 |
ダブルウィッシュボーン式サスペンション |
上下一対(ダブル)のアームで車輪を懸架するタイプのサスペンションで、当初はアームがV形をしており、鳥のさ骨(ウィッシュボーン)の形に似ていることからこの名がつけられた。現在では形に関係なく上下2本のコントロールアームを持つサスペンションはこう呼ばれ、従来のタイプをコンベンショナルウィッシュボーン式、これにリンクを追加したタイプのものをマルチリンク式として区別している。アームの形状や配置によってアライメント変化や加減速時のクルマの姿勢を比較的自由にコントロールすることができ、剛性も高いので操縦性安定性を重視する乗用車に多く使われている。構造が複雑で大きな取り付けスペースが必要なのが難点。 |
ダブルオーバーヘッド・カムシャフト |
レシプロエンジンで二本のカムシャフトがシリンダーヘッド内に配置されているもので、対をなした(ツイン)二本のカムシャフトがあることからツインカムとも呼ばれる。一方のカムシャフトがインテークバルブを、他方のカムシャフトがエキゾーストバルブを開閉するようになっているのが普通。DOHCともいう。 |
ダブルクラッチ |
駆動系にトルク変動によるショックを与えず、滑らかなシフトダウンを行うテクニックで、その手順はまずクラッチを切ってギヤをニュートラルにし、一旦クラッチをつないでアクセルペダルを踏み、エンジンの回転(入力側のギヤの回転)を上げてから低いギヤ(出力側のギヤ)にシフトし、再びクラッチをつなぐというやり方。クラッチを二度(ダブル)踏むことからこのようにいう。 |
ダブルコーンシンクロ |
シンクロメッシュの一種で、ギヤの回転を同期させるためのボークリングとシンクロコーンの接地面は通常一つだが、ボークリングを二つに分けて間にシンクロコーンを挟んで両面で摩擦力を発生させてシンクロ効果を高めたもの。 |
ダブルサーキット型キャリパー |
2系統のブレーキシステムを備えたデュアルサーキット・ブレーキで使われるキャリパー。ディスクブレーキシリンダーが2系統の油圧で作動するようになっている。 |
ダブルシート |
2人乗りバイクで、ライダー用のシートとタンデムシート(後席)が一体になっているシートのこと。 |
ダブルトレーリングアーム式 |
スイングアーム式サスペンションの一種で、前輪に使用するためにトレーリングアームを上下二段(ダブル)に配置し、サスペンションが上下してもキャスター角が変化しないようにしたもの。横剛性が弱いのが難点とされる。 |
ダブルピック |
荷台の覆いが無く、サイドパネルが運転台と一体に作られている小型のトラック(ピックアップ)で、運転室内のシートが2列(ダブル)あるものをいう。 |
ダミー |
替え玉、人形という意味があり、自動車の衝突実験に使われる人形を指す。大きさ、形、重さや関節の動きなどを人間に似せて作り、車が衝突したときに乗員に加わる加速度や荷重、変形などのデータをとるとともにその動きを調べるのに利用される。 |
タルガルーフ |
サンルーフの一種でルーフの後ろの一部を残して、キャビンの上の部分を取り外せるようにしたもの。タルガトップともいう。 |
タルボ型ミラー |
流線型のフェンダーミラーのこと。タルボはこの形のミラーを最初に使ったフランスのメーカーの名前。 |
炭化水素 |
石油の主成分で、化学式HmCn(m、nは整数)であらわされる水素(H)と炭素(C)だけからできた様々な有機化合物の総称。自動車の排出ガス中の炭化水素は燃料や燃料の不完全燃焼によってできる化合物のガスや微粒子で、エンジンからの排気ガス、ブローバイガス、燃料系からの燃料蒸気に含まれている。炭化水素による直接の大気汚染よりも、大気中で分解したり化学反応を起こして光化学スモッグの原因物質となる点が問題とされる。 |
暖機 |
クルマのエンジンや駆動系などを本格的に働かす前に所定の温度まで温めること。暖気とも書く。 |
単気筒エンジン |
シリンダーが1個のエンジン。 |
弾性 |
物体が外から力を加えると形が変わり、力を除くと元の形に戻る物質。ある限度以上の力を加えて変形させると元の形に戻らなくなる場合、その限界の力を弾性限界といい、物体に弾性限界より小さい力を加えた場合の変形を弾性変形という。 |
炭素繊維強化樹脂 |
カーボン繊維強化複合材料、カーボンファイバー・コンポジットなどとも呼ばれる。グラファイト微結晶の集合体からなる炭素繊維をエポキシ樹脂で固めたもので、航空機の部材として多く使用されており、レーシングカーのモノコックもこの素材が主流となっている。軽量で強度、弾性率が高いことのほかに振動の減衰性がよく、振動・騒音が伝わりにくいという特徴があり、自動車用の材料として有望だがコスト高が難点。 |
タンデムアクスル式サスペンション |
リーフスプリングを前後に2対並べ(タンデム)、車軸(アクスル)を2本設けたサスペンションで、重トラックや不整地用トラックの後車軸に用いられる。 |
タンデムシート |
2人乗りバイクの後席のこと。ライダー用のシートとタンデムシートが一体になっているシートはダブルシートと呼ばれる。 |
タンデムツーシーター |
2座席の乗用車でシートが前後の縦列(タンデム)に並んでいるもの。3輪乗用車のメッサーシュミットが有名。 |
タンデム・マスターシリンダー |
2系統ブレーキ用のマスターシリンダーで、ピストンが縦に2個並べられた形式のもの。 |
単独揺動式ワイパー |
ウィンドシールドワイパーで、ワイパーが1本のもの。 |
断熱材 |
熱の伝導を少なくする材料で、クルマの場合吸音材や遮音材が断熱材の働きを兼ねていることが多い。グラスウール、アズベスト、発泡プラスチックなどが代表的なもの。 |
ダンパー |
広い意味で機械的、電気的な振動を減衰させるものの総称。衝撃を緩和する働きもする。サスペンションの振動を減衰させるショックアブソーバー、ステアリング系の振動を減衰させるために使われるステアリングダンパー、クランクシャフトのんじり振動を抑えるダンパープーリーなど、多くのダンパーが使われている。狭義にはオイルを満たしたシリンダー内にピストンを入れ、オイルがピストンに設けられた孔(ポートやオリフィス)を通過する際の抵抗力を使って振動や衝撃を減衰させる働きをするものをいう。 |
ダンパープーリー |
クランクシャフトの前端に付けられているプーリーでトーショナルダンパーと一体に作られているもの。ウォーターポンプやエアコンのコンプレッサーなどを駆動するVベルトのかかるプーリーがダンパーのマスとして利用されるものとそうでないものとがある。 |
ち行
チェーンガード |
チェーンを覆うケースやカバーで、オイルやグリースで周囲が汚れるのを防ぐもの。 |
チェーンテンショナー |
チェーンの張りを自動的に調整する装置で、単にテンショナーと呼ばれることもある。ばねの反発力や油圧を利用してチェーンの一部を押さえ、チェーンの振動による騒音の発生や摩耗を防ぐもの。 |
チェーンドライブ |
ローラーチェーンとスプロケットによって回転力を伝えるシステム。モーターサイクルに多く採用される。 |
チェックバルブ |
逆止弁。液体や気体を一方だけ流し、逆流を止める弁で、ブレーキ系でアキュムレーターに蓄られたオイルをコントロールバルブに送ったり、フューエルタンクから燃料蒸発ガスをチャコールキャニスターやエアクリーナーに導いたりする場合など自動車には多くのチェックバルブが使われている。 |
チッピング |
ものの表面が少し削られることいい、路面からははねあげられた小石による車体表面の傷やタイヤのトレッドの一部分の欠けなどのこと。 |
チップクリアランス |
ラジエターのファンとファンシュラウドの間の隙間のこと。ファンがエンジンに、シュラウドが車体に取り付けられているエンジン駆動のファンでは20o以上のクリアランスが必要だが、ファンをエンジンと離れた位置において電動モーターで駆動する電動式冷却ファンでは5o前後のクリアランスがあればよい。 |
チャージクーリング |
インタークーリングともいい、ターボチャージで圧縮され温度が高くなった空気を冷却すること。 |
チャイルドロック |
4ドアの乗用車で、後席の子供がクルマの走行中にいたずらでドアのロックを解除し、レバーを操作してもドアが開かないようにした機構のこと。チャイルドプロテクター、チャイルドプルーフ、チャイルドセフティーロックなどとも呼ばれている。 |
チャコールキャニスター方式 |
燃料蒸発ガス排出抑止装置の一種。エンジン停止中はフューエルタンクで蒸発した燃料ガスを活性炭(チャコール)を入れた缶(キャニスター)に導いて吸着させておき、エンジンの作動中に吸気系にガスを吸いとらせて活性炭の吸着能力を回復するようにしたもの。 |
チャター |
チャタリングともいい、二輪車で比較的高速で走行中に前輪が上下に揺れる現象。フロントフォークやフレームの特性(主として剛性)とタイヤ特性とのマッチングが悪いときに発生しやすく、一般に対策が難しい。元の意味は寒さで歯がガチガチしたり、機械がガチガチすること。 |
チャターマーク |
バンケル型ロータリーエンジンの開発当初ローターハウジングのない周に発生した波状の摩耗痕のこと。トロコイド面でアペックスシールが一種の摩擦振動(チャター)を起こすことによって生じ、このマークの発生を止めることがロータリーエンジン開発のための重要課題の一つであった。 |
着火遅れ |
着火待ち時間ともいい、ガソリンエンジンでは圧縮行程が終わってスパークが飛んでからシリンダー圧力が上がり始めるまでの時間。ディーゼルエンジンでは燃料が噴射されてから自然発火が起こり、シリンダー圧が上昇し始めるまでの時間のこと。エンジンが冷えていると着火遅れが大きい。 |
着火不良 |
着火は混合気の一部が燃え始め、火炎が拡がっていって混合気の大部分が燃焼することをいい、点火プラグに火花が飛んでも着火が起こらないことを着火不良という。 |
チャップマンストラット式サスペンション |
マクファーソンストラット式サスペンションの一種で、駆動軸を横方向の力を支えるアームとして利用し、この駆動軸とトレーリングアームによってAアームを構成するサスペンション。英国のチャップマンによって考案され、ロータスに使われてこの名がある。 |
チャンキング |
トレッドゴムの発熱によって生じた損傷で、ゴムがカーカスから剥離する場合と、トレッドゴムが外力によって引き千切られる場合とがある。 |
中空カムシャフト |
カムシャフトの軸を中空にしたもので、重量が軽くなるだけでなく中空部分がエンジンオイルの通路として利用できる。 |
駐車灯 |
夜間、駐車中にクルマの存在を知らせることを目的に付けられているライト。保安基準では前後150mから見えることが必要で、灯火の色は前が白、淡黄色または橙色で後ろは赤と規定されている。車幅灯を暗くして駐車灯とすることが多い。 |
チューブ |
タイヤの中にあって空気を保持するゴム製の袋。材料としては一般に空気を透過しにくいブチルゴムが使用されている。 |
チューブレスタイヤ |
空気を入れるゴム袋であるチューブを用いず、タイヤ自身で空気を保つ構造のタイヤ。タイヤの内面にインナーライナーと呼ばれる気密性の高いゴムの層を設け、ビード部をリムフランジに圧着して空気をシールする。釘踏みなどによってできる小さな傷はインナーライナーが若干のシール効果を持つうえに、パンク時の急激なエア漏れがないので安全性が高い。バルブはリムに直接取り付けられ、リムバルブと呼ばれる。 |
超音波雨滴除去装置 |
ドアミラーに付着した大きな雨滴を圧電振動子の振動によって数秒ではじき飛ばし、残った水滴をヒーターの熱によって乾かす装置で、1989年にセルシオに初めて採用された。 |
ちょう度 |
ちょう度計によって得られるグリースの固さをあらわす数値。25℃のグリースの中を、ある重量、形状の円錐が5秒間に間入する深さ(o)を10倍した数値であらわせる。自動車用には通常、ちょう度265〜385のグリースが使用される。 |
チョーク |
キャブレターに吸い込まれる空気の量を少なくすることによって混合気を濃くすること。チョークには首を絞めて息の根を止めるという意味があり、空気の量を絞るということから使われる用語。エンジンが冷えている時の始動性を良くし、暖まるまで安定した運転を行うための装置で、手動式と自動式がある。手動式ではキャブレターの入り口に設けられている弁(チョークバルブ)を運転席のチョークボタンを引いて閉じることによって作動される。自動式には電熱式自動チョーク、排気加熱式自動チョーク、セラミックチョークなどがあり、現在はほとんどのクルマが自動チョークとなっている。なおベンチュリーがチョークと呼ばれることがある。 |
チョークオープナー |
暖機後にチョークを全開する装置。ダイヤフラムを利用し、一方を外気に、他方をインテークマニホールドにつないでおいて、冷却水がある温度以上になると温度感知弁で外気を遮断し負圧でチョークを開く仕組みになっている。 |
チョークバルブ |
チョークを作動させるバルブ。 |
チョークブレーカー |
エンジンの始動時には混合気を濃くするためチョークバルブは閉じられているが、始動直後にはその濃さを加減する必要があるので、インテークマニホールドから負圧をダイヤフラムに導き、マニホールドの負圧量に応じてチョークバルブを開くシステムのこと。 |
チョークボタン |
手動式チョークを作動させるため指で操作するノブ。ボタンはポルトガル語で、英語では単にチョークといい、ボタンを操作する場合にはチョークを引くという表現になる。 |
直進安定性 |
直進中のクルマの走行安定性のこと。 |
直接燃料噴射式ディーザルエンジン |
ディーゼルエンジンで、一つの燃焼室にノズルから燃料を直接噴射する方式のもの。直噴式と略される。副室式と比べて熱損失が少なく10〜15%燃料が良いが、400〜800気圧という超高圧で燃料を噴射するため大型で高価な装置が必要で騒音も大きく、現在大型エンジンに限って使われている。燃焼室の形状によってディープトロイダル型燃焼室式、M燃料方式などがある。 |
直列エンジン |
エンジンをシリンダーの配列によって分類する方法の一つで、シリンダーがエンジンの前後方向にまっすぐに並べて配置されたもの。最も普通に見られる配列で、4気筒及び6気筒エンジンに多い。 |
直列4気筒 |
気筒数が4個の直列エンジン。略して直4とかL4ともいわれる。 |
直結クラッチ |
ロックアップクラッチともいう、ATのトルクコンバーターの入力軸と出力軸を直結(ロックアップ)するために使われるクラッチ。 |
チルトハンドル |
可変ステアリングホイールの一種で、ステアリングホイールの角度がドライバーの体格や運転姿勢に合うように変えられるもの。ステアリングコラムに取り付けられているレバーでロックを解除し、手でハンドルを調整するものが普通だが、電動式のものもある。チルトステアリングともいう。 |
チンスポイラー |
チンはあごのことで、クルマの前面下部に付けられたあごの形に似たスポイラーのこと。ボディの下に入る気流を少なくし、車体前部に下向きの力(ダウンホース)を得るもの。 |
つ行
ツインエントリー・タービンハウジング |
ターボチャージャーで、シリンダー間の排気干渉を避けるため、エキゾーストマニホールドからタービンハウジングに至る経路を二つ(ツイン)に分けてあるもの。 |
ツインカム |
レシプロエンジンで、2本(ツイン)のカムシャフトがシリンダーヘッド内に配置されていること。DOHCの別のいい方。 |
ツインキャブレター |
略してツインキャブといい、エンジンに2個(ツイン)のキャブレターが装備されていること。かつてはスポーツタイプのクルマのエンジンでよく見られた。 |
ツインスクロールターボ |
マツダの可変A/Rターボシステムの名称。排気タービンへの排気の吹き出し口を二つ(ツイン)設け、低回転では一つの吹き出し口に排気を集中し、高速回転では両方をターボの両方を利用してターボの効率化を図るもの。切り替えはエンジンの運転状況に基づきコンピューター制御によって行われる。 |
ツインターボチャージャー |
略してツインターボという。ツインは双子のことで、同じターボチャージャーを2個使用したエンジンの過給システム。特にV型のレーシングエンジンに多く使用されており、量産の国産車では85年にトヨタマークUに採用されたのが最初。ターボを小型化することによるレスポンスの向上と同時に、排気干渉を防ぐ効果もある。 |
ツインダンパーシステム |
マツダの1輪あたり2本(ツイン)のショックアブソーバーを使ったサスペンション。良路ではメインのショックアブソーバーだけを使用して良好な乗り心地を得、車体が大きくロールしたときなどサスペンションのストロークが大きいときだけサブダンパーを作動させて大きな減衰力を得るもの。 |
ツインチューブ式ショックアブソーバー |
複筒式とも呼ばれ、アウターとインナーの2本(ツイン)の筒(チューブ)からなるショックアブソーバーで、その外側を外筒で覆った構造のもの。オイルを満たしたインナーチューブのなかに上下に動くピストンがあり、ピストンとチューブの底に弁とオイルの通路(オリフィスやポート)が設けられており、伸びるときにはピストンの、縮むときにはチューブの底の弁と通路によってそれぞれ減衰力を生ずる。インナーチューブの底を出入りするオイルはアウターチューブの中に溜まっているので常に立てて使う必要があり、強い振動を受けるとエアレーションやキャビテーションが起こりやすいのが欠点。 |
ツインビスカス・ドライブ |
ビスカスカップリングを2個(ツイン)の点火プラグを備えたエンジン。燃焼室の2箇所に点火することによって燃焼速度を速くし、薄い混合気でも効率よく燃焼するようにしたもの。ロータリーエンジンでは燃焼室が偏平になるのでプラグが2個使用されることが多い。 |
ツインブランチ・インテークマニホールド |
ニッサンの可変吸気システムに使われているインテーク・マニホールドの呼称。4バルブエンジンの2個の吸気ポートに、2バレルキャブレターのプライマリーバレルとセカンダリーバレルから独立したマニホールドによって混合気を別々に送れるようにし、低速域ではプライマリー側のみを使用して充鎮効率を高め、中低速トルクの向上と燃費の改善を図るもの。 |
ツーウエイ・エキゾースト・コントロールシステム |
トヨタの可変排気システムの呼称。通気抗力自動車の走行抵抗のうち、空気がエンジンルームなどボディの内部を流れることによって生じる抗力のこと。 |
ツーサイクルエンジン |
2ストロークエンジンともいい、4サイクルエンジンの吸気、圧縮、膨張、排気の4行程のうち、媒体の入れ替えが行われる吸気と排気の2工程を省略し、圧縮と膨張の2行程(サイクル)だけで作動するエンジン。膨張行程の終わる下死点付近でピストンの動きが遅いことを利用して燃焼ガスを追い出し、新気をシリンダーに入れることを掃気(スカベンジング)といい、これをいかに効率よく行うが2ストロークエンジンの性能を左右する大きな要素となっている。モーターサイクルエンジンとして普及している小型のガソリンエンジンと主として船舶用に使われている大型のディーゼルエンジンとがある。新気を送風機によって送りこむ方法もあるが、小型エンジンではクランク室を密閉してピストンの裏側をポンプとして使い、吸気口から吸入した混合気を掃気口からシリンダー内に送り込み、燃焼ガスを排気口から押し出すシステムが一般的で、この方法は1891年にイギリスのデイによって発明された。 |
ツーシーター |
二座席の乗用車をいう。スポーツタイプのクルマがこう呼ばれることが多いが、市街地走行専用の小型車にもツーシーターがある。座席が前後の2座席になっているものをタンデムシーターとも呼ぶ。タンデムは縦列の意味。 |
ツージョイント・プロペラシャフト |
ジョイント(継手)を2個用いたプロペラシャフト。 |
ツースドチェーン |
チェーンはリンクとピンの連続したものだが、リンクが歯(ツース)のある鈑金を重ねたものからできているチェーン。ピンやリンクが多少摩耗しても歯がスプロケットと噛み合うので騒音が出にくいことからサイレントチェーンと呼ばれる。 |
ツーバルブエンジン |
一つの気筒に吸排気バルブを各1本ずつもつエンジン。かつてはこれが主流だったが、現在日本では商用車などをエンジンとして残っている程度となっている。 |
ツーバレル・キャブレター |
混合気の通路(バレル)が二つあるキャブレターで、それぞれのバレルが別のシリンダーに混合気を供給する方式(デュアルキャブレター)と、通常の運転時にはプライマリー側(ファースト)バレルのみが作動し、高速高負荷運転時にはセカンダリー側(セカンド)バレルもともに作動するもの(二段作動式)とがある。 |
ツーピースホイール |
リムとディスクの二つ(ツーピース)を組み合わせて作られたホイール。 |
ツー・プラス・ツー(2+2) |
4人乗りのスポーツタイプのクルマで、前2座席をホールド性のよい通常のシートし、後ろの2座席は補助的に使えるだけの小型のシートにしたもの。 |
ツーボックス |
エンジンルームの箱(ボックス)の一つとし、車室とトランクルームが一体となって二つ目の箱を形成するクルマ。居室と荷物室がつながっている乗用車のこと。 |
ツーリーディングブレーキ |
ドラムブレーキの一種。ブレーキシューをドラム内面に押しつけるとき、ドラムの回転方向に対して先の方にシューの視点(アンカー)を置き、手前を作用点として押しつけると、アンカーまわりにシューを一層強くドラムに押しつけようとするトルク(自己サーボ効果)が働き大きなブレーキ力を得られる。このようなブレーキをリーディングブレーキといい、この半月型のブレーキシューを2個つないだものがツーリーディングブレーキで、大きな制動力の必要なトラックの前輪に多く使われている。バックする時は逆にツートレーリングブレーキとして働くので効きが悪い。 |
ツーリングカー |
ツーリングは旅を意味するツアーからきた言葉で、ツーリングカーは旅をするためのクルマということになるが、通常はスポーツカーに対する普通の実用車のことをいう。 |
ツーローター・ロータリーエンジン |
ローターを2個並べたロータリーエンジンのこと。ロータリーエンジンはローターの1回転ごとに1回の膨張行程があるが、これはレシプロエンジンの2サイクルエンジンと同じで、安定した回転を得るには複数個のローターを使うことが望ましい。2ローターロータリーエンジンは4サイクルの4気筒エンジンに相当し、3ローターロータリーエンジンは6気筒エンジンに相当することになる。なお、ロータリーエンジンの排気量は一つの作動室の容積(最大容積−最小容積)×ローター数であらわされる。 |
疲れ摩耗 |
ボールベアリングのように、ころがり摩擦を受ける部材の接触部分が繰り返し応力を受け、表層が疲れ破壊によって摩耗する現象。 |
突き出しプラグ |
スパークプラグの電極を通常のものより3〜6o長くし、燃焼室内に突き出すようにしたもの。電極をできるだけ燃焼室の中央に近いところにおいて火炎伝播距離を短くし、燃焼効率を高めることを狙って作られた。 |
継手 |
ジョイント。物と物をつなぎ合わせた部分。部品のつなぎ目や合わせ目、あるいは軸から軸に動力を伝える部分を指し、前者をジョイント、後者をカップリングということが多い。 |
吊り天井 |
天井の内張りでルーフから吊られているタイプのもの。 |
て行
低圧ガス封入式ショックアブソーバー |
ツインチューブ式ショックアブソーバーで、オイルの溜まっているインナーチューブとアウターチューブの間(リザーバー室)に3〜15気圧(0.3〜1.5MPa)の窒素ガスを封入し、一般的なツインチューブ式に発生しやすいエアレーションを起こりにくくしたもの。 |
定圧サイクル |
理論サイクルで一定圧力のもとで熱のやり取りが行われるもの。R.ディーゼルによって考案された最初のディーゼルエンジンはこのサイクルに相当する。 |
ディーゼリング |
ガソリンエンジンなどのスパークプラグで点火することによって膨張行程が始まるエンジンで、点火を止めてもエンジンが回転を続ける現象のこと。ガソリンエンジンでは高速連続走行などでエンジンが過熱気味の状態でキーをオフにしたときに起こることがあり、加熱したスパークプラグや燃焼室内に付着したカーボンなどが発火源となって自然発火するもの。ディーゼルエンジンが点火なしで動くことから名づけられた。 |
ディーゼルエンジン |
ドイツのディーゼルが1892年に発表した論文に基づいて開発されたエンジンで、約40気圧に圧縮され700℃ほどの温度になっている燃焼室内の空気中に、100〜800気圧という高い噴射圧で燃料を噴射し、動力を得るもの。ガソリンエンジンが出力の調整を吸入する空気と燃料の量によって行うのに対して、ディーゼルエンジンは燃料の噴射量のみでパワーをコントロールすることから、燃料噴射システムと燃焼室の形状が最も重要な要素であり、燃料噴射の方式によって直接噴射式と副室式に、燃焼室によって過流式室、予燃焼室式、空気室式に分類される。 |
ディーゼルサイクル |
内燃機関の熱サイクルの一つ。定圧サイクルとも呼ばれ、R.ディーゼルによって最初に考案されたエンジンに適用されるサイクルで、圧縮行程に相当する熱の出入りのない圧縮(断熱圧縮)、膨張行程に相当する圧力一定で容積だけが大きくなる燃焼(等圧燃焼)と熱の出入りのない膨張(断熱膨張)を繰り返すもので、通常縦軸に燃焼室の圧力、横軸に体積をとった図で示される。 |
ディーゼル指数 |
ディーゼルエンジンに使用される燃料の着火性の良さを示す指数。 |
ディーゼルスモーク |
ディーゼルエンジンから排出される煙で、黒煙と白煙がある。黒煙は炭素の微粒子からなる煤で、フルアクセルの時に出やすく、燃料が多量に燃焼室に噴射されて完全に燃えるための酸素の量が不足した時に出やすい。白煙は燃料が燃えないで微粒子となって排出されるもので、気温の低いところでエンジンを始動する場合も多くなる。ディーゼルスモークには煤(カーボンスーツ)、煤に付着しているSOF、金属の微粒子などが含まれている。 |
ディーゼルノック |
ディーゼルエンジンで、始動時など温度の低い状態でアイドリングしているときに、カラカラという音を発生する現象。ディーゼルエンジンでは圧縮された空気の熱によって燃料の噴射と同時に燃料に火がつき、引き続き噴射される燃料が燃えていくが、低温度、低回転では噴射された燃料の発火が遅くなり(発火遅れ)、溜まっている燃料が一気に燃えて圧力が急激に上昇するもの。 |
ディーゼルパティキュレート |
パティキュレートは小さな粒のことで、ディーゼルエンジンから排出されるカーボンスーツ(煤)、燃料やオイルの燃えかすなど微粒子の総称。1982年からアメリカで排出量が規制されている。 |
ディーゼルパティキュレート・フィルター |
ディーゼルエンジンの排出ガス中のディーゼルパティキュレートを除くための濾過装置(フィルター)。セラミックをフォーム(泡)状に成形したフォームフィルターや金属の細い線などによって作られた濾材によってパティキュレートを除くが現在の技術では比較的短期間にフィルターの交換を行う必要があり、寿命の長いフィルタートラップが開発されている。 |
低位発熱量 |
単位量の燃料が完全燃焼したときに発生する総発熱量(高位発熱量)から、燃料に含まれる水分と燃焼によって生じた水分を蒸発させるのに必要な熱量を引いたもの。真発熱量ともいう。 |
ディープトロイダル型燃焼室式ディーゼルエンジン |
直接燃料噴射式ディーゼルエンジンでスワールポートをディープトロイダル形にし、燃焼室に吸入される空気に強いスワール(渦)を作って燃焼室のほぼ中央から噴射される燃料との混合を良くするようにしてあるタイプのもの。トロイダルは円または円弧をある軸の回りに回転させたときにできるドーナツ形または釣鐘形の立体のことで、吸気ポートが深い(ディープ)釣鐘に似た形に作られていることから命名されたもの。 |
抵抗入りプラグ |
電気抵抗の大きい抵抗体を入れてあるスパークプラグ。火花放電による電波雑音の発生を抑えるための抵抗を入れるもの。 |
停止距離 |
自動車の制動試験で、ドライバーが車を止めようとしてアクセルぺだらから足を放した瞬間から停止するまでに自動車が進む距離。アクセルパダルを放してからブレーキが効き始めるまでの空走距離と、実際にブレーキが効いている間に自動車が進む距離(制動距離)を分けて考え、両者を加えたものを停止距離と定義する。 |
ディジタルメーター |
数量を数字で示すメーター。ディジタルは指を使ってのを意味する形容詞で、数や量を数字で用いて表すやり方のこと。日本では81年発売のソアラに初めて採用された。発光ダイオード、蛍光表示管や液晶が使われている。 |
低周波アクティブサスペンション |
空気やガスをばねとして用いるサスペンションで、高周波数の振動はばねによって吸収し、低周波振動をアクティブに制御して振動の処理とクルマの姿勢の制御を行うシステム。例として、インフィニティQ45やソアラのアクティブサスペンションがある。 |
ディスク |
円盤。自動車ではブレーキディスクやホイールのハブへの取り付け部分など平円形の部品を指す用語として使われる。 |
ディスクブレーキ |
ディスクは円盤の意味で、車輪と一体になって回転する円盤(ディスクローター)をブレーキパッドで挟みつけ、その摩擦力で制動力を得る装置。ドラムブレーキと異なり、ブレーキペダルを踏む力に比例して制動力が変わるのでフィーリングが良く、効きが安定していてフェードも少ないので乗用車のフロントブレーキによく採用されている。スポーツカーや高級車には四輪ともにディスクブレーキが使われている。 |
ディスクブレーキキャリパー |
通常、単にキャリパーといい、ディスクブレーキのディスクローターにブレーキパッドを押しつけるためのピストンやシリンダーを内蔵した部品で、ローターをまたぐように取り付けられているもの。キャリパーはコンパスに似た形の二股の先端で物の厚さを測る器具のことで、形が似ていることから名づけられたもの。 |
ディスクブレーキパッド |
ディスクブレーキの部品でディスクローターに押しつけられ摩擦力を発生するもの。ローターに接触するライニング(摩擦材)とこれを保持する裏金からできている。ライニングには断熱材としてもすぐれた基材であるアスベスト(石綿)が使われているものが多いが、これが人体に有害として世界的に脱アスベスト化の動きがあり、石綿を使わないメタルパッドやガラス繊維を主原料にアラミド繊維を混ぜたパッドなどが開発されている。ドラムブレーキより少ない面積で大きな制動力を得る必要があるので、より高負荷、高温に耐えられる材料が研究されている。 |
ディスクホイール |
タイヤを保持するリムと、クルマのハブに取り付けるディスクを一体にしたもので、鋼板をロール成形したリムとプレス加工したディスクを溶接して作られたものを指すのが普通だが、軽合金ホイールをいう場合もある。略して単にホイールとも呼ばれる。 |
ディストリビューション・オクタン価 |
ガソリンのオクタン価で、実験室オクタン価測定法の一つであるディストリビューション法によって求められたもの。CFRエンジンの吸気マニホールドに冷却装置を取り付けて、リサーチ法による測定を行うもので、多気筒エンジンにおけるガソリンのアンチノック性を示すものとされる。 |
ディストリビューター |
廃電器。ディストリビュートは配ることを意味する英語で、イグニッションコイルに発生した高電圧の電流をハイテンションコードを介して、各シリンダーについているスパークプラグにタイミング良く分配する装置。電流の分配装置のほかに、イグニッションコイルに高電圧を発生させるためコイルに流れる電流を断続する装置(ブレーカー)とエンジンの回転に合わせて、点火時期を調整する装置(進角装置)がエンジン自身によって回される1本のシャフトに取り付けられており、エンジン回転の1/2の速さで回転している。 |
ディストリビューターレス点火装置 |
ディストリビューターをなくし、イグニッションコイルから直接スパークプラグに電流を送って、高回転時に遅れがちな点火を確実に行うシステムで、ダイレクト・イグニッション・システムとも呼ばれる。トヨタのDLI、ニッサンのNDISなどがある。 |
デイタイム・ランニングランプ |
昼間(デイタイム)、クルマが前から来るのが分かるように、前面左右にライトを点灯するもの。1982年にスウェーデンとフィンランドで、1985年からはカナダでも装着が義務付けられている。 |
定地試験 |
テストコースで行われる操縦安定性試験、ブレーキ試験、燃費試験など自動車の性能テストの総称。 |
定地燃費 |
平坦な舗装路を一定の速度で直進した時の燃料消費率で、日本では1リットルの燃料で何キロメートル走行できるかをキロメートル/リットル示すのが普通。欧米では1ガロンの燃料で何マイル走行できるかを示すMPG(マイル・パー・ガロン)が使われ、100キロメートル走行するのに何リットルの燃料が必要か(リットル/100キロメートル)で表示されることもある。 |
ディテント加速 |
AT車の加速方法で、ディテントは回りどめ、戻りどめを意味し、キックダウンせずにギヤが1段下に戻る寸前のアクセル開度を保ちながら加速すること。 |
ディテントプレート |
ATのセレクターレバーを保持するとともに節度あるシフトができるように、セレクトレバーの下部に取り付けられている切り欠きのあるプレートのこと。 |
低燃費タイヤ |
クルマの燃費を良くするためころがり抵抗を小さくしたタイヤ。徹底的な軽量化を行ったラジアルタイヤで、ヒステリシスロスの小さいゴムを使用しており、高めの空気圧で使用しても振動や乗り心地を損なわないように作られている。ウェットグリップが若干犠牲になっているので、濡れた路面の走行は慎重に行う必要がある。 |
ディファレンシャルオイル |
デフオイルと略していわれるのが普通。ディファレンシャルギヤの潤滑に使用されるオイルの総称。ハイポイドギヤオイルも含み、潤滑のほかにギヤの冷却やさび止めの働きもする。LSD用には専用のLSDオイルが必要。 |
ディファレンシャルギヤ |
差動装置。略してデフという。旋回するクルマの駆動輪で、外側のタイヤを速く、内側のタイヤをゆっくり回してタイヤに無理がかからないようにするための装置。ファイナルギヤと一体になっており、四つのベベルギヤを向い合せに組み付けた構造で、左右の車軸につながっている二つのギヤをサイドギヤ、他の二つを(デフ)ピニオンと呼ぶ。クルマが直進しているときにはファイナルギヤとともにデフ全体が一つになって回転し、左右の車軸を同じ速さで回すが、旋回中はピニオンが回ることによって左右のサイドギヤの回転速度が変わり、コーナーの外側のタイヤが内側のタイヤより速く回る仕組みになっている。ディファレンシャルは相違を意味するディファレントからきた言葉。 |
ディファレンシャルキャリア |
FR車で一体に作られているファイナルギヤとディファレンシャルギヤを収納するケースのこと。それぞれに使用されるギヤのタイプと形状によっていろいろな形に作られ、可鍛鋳鉄製が普通だがアルミ合金製もあり、冷却用のフィンを備えたものもある。 |
ディフューザー |
ディフューズは拡散することで、液体の流路を拡げて流れを遅くし、流体の運動エネルギーを圧力にかえる装置。自動車ではターボチャージャーのコンプレッサーの外周に取り付けてあるものと、テールパイプの先端に取り付け、歩行者などへの熱害を防ぐものとがある。レーシングカーでダウンフォースを得るためにフロア(アンダーボディ)の後ろを斜め上方にはね上げた部分もディフューザーと呼ぶ。 |
ディマースイッチ |
ディマーは減光することを意味し、ヘッドランプのビームからすれ違いビームに、あるいは逆に切り替えるためのスイッチで、ターンシグナルスイッチと一体になっているものが多い。 |
定容サイクル |
ガソリンエンジンの理論サイクルで、一定容量のもとで熱のやり取りが行われる。オットーサイクルがその代表的なもの。 |
ディレクショナルパターン |
タイヤの回転方向によって特性が異なり、指定方向にタイヤが回るように車に取り付ける必要のあるトレッドパターン。トレッドの溝の方向や配置を工夫することによって、主としてウェット路面の排水効率を良くしたり、コーナリング性能を高める目的で採用されることが多い。 |
ティンテッドガラス |
ティントは薄く色を付けることで、着色されたガラスのこと。熱線を吸収するためガラスを薄いブルーに着色したり、ベージュ系の室内色を引き立てるためブロンズに染めたブロンズガラスを使うもの。ウィンドシールドガラスの上の部分だけを着色したものをシェードバンドガラスと呼ぶ。 |
データロガー |
データ蓄積システム。自動車の実車試験やレーシングカーなどで使用されており、走行中に各種センサーによって得られたデータをコンピューターのメモリー集積回路にいったん記憶させ、これを停止時に取り戻したり、デレメーターシステムと組み合わせて走行中に読み取るもの。記録できる項目は比較的多いが、メモリーの容量は少ないのが普通。ロガーは自動記録装置のこと。 |
テーパーコイルスプリング |
非線形コイルスプリングの一種。コイルばねの鋼線を一端または両端に向かって先細り(テーパー)にし、その部分の線の間隔を徐々に狭くしてあるもの。ばねのたわみに対してばね定数が変化することから、乗り心地が良く、乗車人員や荷物の量による車高の差が少ないなどの特徴を持つサスペンションが得られる。 |
テープドローイング |
クルマのデザイン表現に使われる手法の一つで、クレイモデルでデザインを検討するときなどに各種のテープやシートモデルに貼り、その大きさや位置、各部分や全体とのバランスなどを見るもの。簡単に貼り直しができるので効率よく検討を進められる。 |
テールスポイラー |
クルマの後端に設けられているスポイラー。リヤのリフトを抑えて走行安定性を良くする目的で付けられるが、クルマの後部はボディ表面の気流が剥離し乱流となっているので、通常の走行では効果のないアクセサリーにとどまることが多い。 |
テールパイプ |
排気管の出口のこと。テールは尻尾の意。 |
テールフィン |
航空用語で飛行機の垂直尾翼のことをいい、自動車ではクルマの後端を薄くひれ状にしたものをいう。空力効果によって走行安定性が良くなりそうに見えるのが実際の効果はあまり期待できない場合が多い。 |
テールランプ |
尾灯。後部灯、テールライトともいう。夜間、後続車の追突を避けるために付けられている赤色灯で、保安基準で後ろ300mから見えることが必要。 |
テキスタイル・ラジアルタイヤ |
ベルトにレーヨンなどの高分子繊維(テキスタイル)だけを使用したラジアルタイヤ。スチールラジアルタイヤと対比して用いられる用語。 |
デコンプ |
ディーゼルエンジンのシリンダーの圧力を抜く装置で、バルブやロッカーアームに取り付けられている。エンジンの始動時にデコンプを使って回転を上げてからこれを解除し始動性を良くしたり、運転中のディーゼルエンジンを止めるのに使われる。 |
デジベル |
略してdBと表示される音の強さの単位。音の強さは振幅に二乗に比例するが、振幅は空気の密度や圧力の変化としてあらわせる。 |
デスモドローミックバルブ |
吸排気バルブはカムによって開かれ、ばねによって閉じられるのが普通だが、これを開閉ともにカムを使って強制的に行うシステム。バルブの追従性を良くし、エンジンの高回転化を図る手法として注目されるもの。ドゥカティやベンツなどの一部のエンジンに採用されたことがある。 |
デッドアクスル |
エンジンの燃焼行程において火炎が超音速の一定の速さで伝播する現象。ガソリンエンジンのノッキングや、ディーゼルエンジンのディーゼルノックに伴って発生することがある。英語で爆発を意味し、爆轟と訳される。 |
デパーチャーアングル |
背離角。クルマが急な坂や突起から降りようとするとき、リヤバンパーの下の部分が使えないかどうかの目安となる数値で、クルマの後端の下部とタイヤのトレッド面に接する仮想平面と、路面とのなす角度をいう。 |
デフケース |
ディファレンシャルギヤのサイドギヤとピニオンの入っているケースで、ピニオンギヤが取り付けられており、ファイナルギヤのリングギヤと一体になって回転するもの。 |
デフロスター |
デミスター、デフォッガーといい、ヒーターを通した温風を窓ガラスに吹き付けて内面の露を蒸発させたり、ガラス内に電気抵抗線をプリントして電気を通し、窓ガラスを温めて外側に付着した露や氷を溶かす装置。ウィンドシールドとサイドウィンドには温風式が、リヤウィンドには電熱式が使用されるのが普通。 |
デュアルエアコン |
前席と後席の両方(デュアル)にエアコンを設けたシステム。 |
デュアルエキゾースト |
デュアルは2をあらわし、排気マニホールドで二つ以上のシリンダーの排気口をまとめて出口を二つにしたもの。排気ガスが流れやすく、排気干渉が起こりにくいので高出力エンジンに採用されている。普通のエンジンに見られるすべての排気口を一つにまとめたものはシングルエキゾーストと呼ばれる。 |
デュアルキャブレター |
ツインチョークとも呼ばれるキャブレターの形式の一つ。同じ径のバレル2個を備え、それぞれのスロットルバルブが同時に開閉し、別々のシリンダーに混合気を供給するもので、シリンダー数の多いV8エンジンなどに使われる。 |
デュアルサーキット・ブレーキ |
ブレーキが故障した時の安全性を確保するためブレーキシステムを2系統にしたもの。ブレーキ・マスター・シリンダーを2個備え、1個が左前輪と後前輪に、もう1個が右前輪と左後輪にブレーキ力を伝えるようになっているのが普通。なおブレーキシステムが1系統しかないものをシングルサーキット・ブレーキ、3系統以上あるものはマルチサーキット・ブレーキという。 |
デュアルビジョンメーター |
車速とエンジン回転数を普通に表示するメーターと、速度を虚像表示するメーターの二つ(デュアル)のうちどちらかが選べるメーターで、トヨタクラウンに装備されている。 |
デュアルベッドモノリス |
デュアルは二重の意味で、モノリス触媒コンバーターでモノリス触媒を直列に2個並べ、最初の触媒で浄化しきれない排気ガスを二つ目の触媒でさらに浄化するようにしたもの。ベッドは地層などの層を意味する。 |
デュアルモードサスペンション |
1987年の三菱ミラージュに採用された四輪マクファーソンストラット式サスペンションで、ショックアブソーバーの減衰力とフロント・スタビライザーの剛性を、それぞれSPORTモードとTOURINGモードの二段階(デュアルモード)に切り替える機能を持たせたもの。スタビライザーの剛性を油圧でコントロールしている点に特徴がある。 |
デュアルモードターボ |
可変過給圧ターボチャージャーの一種。過給圧を二段階にコントロールし、高速走行や登坂時にはハイモード、雨天時や雪上走行には過給圧の低いローモードを車室内のセレクトスイッチで選択できるようにしたもの。 |
デュアルモードダンパー |
エンジンのクランクシャフトに発生するねじり振動と曲げ振動を同時に吸収する装置。ねじり振動を抑えるダンパープーリーと曲げ振動を吸収するベンディングダンパーを組み合わせた構造のデュアルモードダンパープーリーとして使用されるのが普通。 |
デュアルリンク式サスペンション |
マクファーソンストラット式サスペンションの一種で、2本(デュアル)のリンクからなるロアアームと、まえに伸びるロッド(ストラットロッド)から構成される形式のもの。FF車のリヤサスペンションに多く採用されている。 |
デュオサーボブレーキ |
ドラムブレーキの一種で、2個のリーディングシューをピン(アンカーピン)でつないだ形式のもの。回転方向に対して先にブレーキドラムに接するシュー(プライマリーシュー)のブレーキ力で次のシュー(セカンダリーシュー)を押す構造になっている。 |
デュオ・ツーリーディングブレーキ |
ドラムブレーキの一種でデュアル・ツーリーディングブレーキとも呼ばれ、二つのシューが前進、後退ともにリーディングシューとして働く形式のもの。トラックの後輪に多く採用されている。 |
デュプレックスチェーン |
ローラーチェーンを二重(デュプレックス)に並べたタイプのチェーン。タイミングチェーンとして多く使用されている。 |
デュボネ式サスペンション |
インディペンデントサスペンションの一種で、乗用車の前輪用として用いられ、キングピンを車体に固定し、ステアリングナックルにリーディングアームまたはトレーリングアームを取り付けた形式のサスペンション。ばね下重量が軽く、車輪が上下に動いてもアライメントの変化がないという特徴があるが、キングピンオフセットが大きいのでキックバックが強く、キングピン回りの慣性重量が大きいという短所もある。 |
デリバリーバン |
小型のパネルバンのこと。 |
テルテール |
英語で警告を与えるものという意味、ウォーニングランプ(警告灯)をいう。 |
テレスコピックステアリング |
可変ステアリングホイールの一種で、ステアリングシャフトを二重にして軸方向にスライドさせ、長さを望遠鏡(テレスコープ)のように伸び縮みできるタイプのもの。 |
テレスコピックタイプ |
二輪車のフロントフォークで、ばねとダンパーを組み込んだインナーチューブ(内筒)とアウターチューブ(外筒)が望遠鏡(テレスコープ)のように伸び縮みして衝撃を吸収し、荷重を支えるようになっているもの。インナーチューブとアウターチューブが双方の間に付けられているスライドメタルと中のピストンによって摺動するピストンスライドタイプと、インナーチューブの内部をダンパーのオイル室としてインナーチューブとアウターチューブが直接摺動するチェリアーニタイプとがある。チェリアーニはこのシステムを開発したイタリアのメーカーの名前。アウターチューブが下に位置するのが普通だが、ダンパーをカートリッジ式にして太いアウターチューブを上にし、高剛性化をはかった倒立タイプもある。 |
テレメーター |
遠隔測定装置。測定されたデータを電波を利用して送受信、記録する装置。自動車用のテレマーターはメーカーの実車試験用に開発されたものだが、ホンダがF1エンジンの走行中のデータをオンタイムで計測するのに利用し始めてから広く知られるようになった。 |
添加剤 |
燃料、潤滑油、冷却水などにそれぞれの機能を増す目的で加えられるもの。 |
点火時期 |
イグニッションタイミングと英語をそのまま使われることが多い。圧縮行程がほぼ終わって、点火するタイミングのこと。高速で回転しているエンジンでは圧縮行程が終わってピストンが上死点にきたときに点火しても、混合気が燃焼するのはピストンが下がり始めて圧縮圧が低くなりつつあるときなので爆発力が小さくなってしまう。そこでピストンが上死点に達する少し前に点火(点火進角)するのだが、タイミングが早すぎてはエンジンを傷めるので、その時期をエンジン回転の速さに合わせて調整する必要がある。通常、上死点の何度前かをクランクシャフトの回転角度で示される。 |
点火装置 |
ガソリンやLPGなどの燃料を使うエンジンで、圧縮された混合気を爆発的に燃焼させるためにスパークプラグで点火する装置で、システム全体を点火系統と呼ぶ。正確でタイミングの良い放電によって強い火花を得ることはエンジンに不可欠の要素であり、エンジンのエレクトロニクス化は1960年代のイグナイターやレギュレーターなどの点火装置から始まった。 |
電気式燃料ポンプ |
電気式のフューエルポンプ。コイルを利用して電磁力によってプランジャーをポンプ運動させるプランジャー式、ローラーモーターを利用するローラーベーン式、円周上にはね溝を設け中のローターを回して燃料を送る円周流式などがある。 |
電気自動車 |
電力によって動く自動車の総称。鉛電池と直流モーターを用いたものが実用化され、ゴルフカートや遊園地内を移動するためのクルマなどに使われている。脱石油で排ガスがなく騒音の低い無公害車として、汎用の乗用車が世界各国で開発されているが、電源となる電池が重く、かさばること、一回の充電で走行できる距離が短いことが技術上のネックとなって普及が遅れている。 |
電磁クラッチ |
クラッチの一種で、電磁石が鉄を吸着する性質を利用し、シフトレバーにスイッチを設け、通常は電気を流してつないであるクラッチが変速のためにシフトレバーに触れると切れるようにしたもの。スバルではクラッチの間隙に鉄粉を入れ、これが磁力によって固定される現象を利用してクラッチとしている。 |
電磁式ドアロック |
ドアの施錠、解錠をソレノイドやモーターによって行う装置。ドアキーや、ドアやコンソールなどに取り付けられたスイッチによって、全部のドアのロックや解除ができたり、クルマがある速度で走ると自動的に全部のドアがロックされるものもある。 |
電磁式フューエルポンプ |
電磁石に送る電流を接点を使ってオン・オフし、プランジャーを往復させて燃料タンクからエンジンに燃料を送るポンプ。 |
電磁式リターダー |
大型車の補助ブレーキとして使われるリターダーの一種。磁界の中で導体を回転させると、導体に過電流が生じて発熱し、機械エネルギーが熱エネルギーに変わることによって導体の回転が遅くなるという現象をブレーキとして利用するもの。トランスミッションの後ろやプロペラシャフトの中間にコイルの中で回転するローターを置き、コイルに通電して磁界を作り、ローターの熱をフィンによって発散させる。 |
電子進角装置 |
進角装置の一種で点火時期の制御をコンピューターで行うもの。ESAと略される。エンジン回転数、吸入空気量などエンジンの運転状態をセンサーで検知し、コンピューターで最適点火時期を計算して点火のタイミングを電気信号として出す装置。 |
電子制御エアサスペンション |
エアサスペンションの一種で、コンピューター制御によって空気ばねのばね定数、車高、ショックアブソーバーの減衰力などをコントロールし、ドライバーが好みによっていくつかのモードを選択できるようにしたもの。トヨタが1986年にソアラに、ニッサンが1987年にセドリック/グロリアに採用した。 |
電子制御式AT |
オートマチック・トランスミッション(AT)の自動変速は遊星歯車のクラッチとブレーキのオン・オフを、ロックアップ付きのATではトルコンの中のクラッチの接と断も、車速とアクセルペダルに連動する作動油圧で自動的にコントロールしているが、これらの制御をすべてコンピューターによって行うもの。 |
電子制御式燃料噴射 |
ガソリンエンジンに吸入される燃料を微粒化して空気の混合する働きをコンピューターの制御による燃料の噴射で行うもの。吸入空気量、吸気温、スロットル開度、水温、エンジン回転数、排出ガス中の酸素濃度など多くのデータにより、走行状態に最適な燃料が供給され、従来のキャブレターに比較し燃料、排出ガス浄化など優れたものになっている。 |
電子表示 |
情報表示システムにおいて、各種の情報を蛍光表示管、発光ダイオード、液晶ディスプレイなどの電子ディスプレイを用いて表示すること。 |
テンショナー |
カムシャフトの駆動にチェーンを使用するエンジンで、チェーンの張りを自動的に調整する装置。チェーンが回転によって外側に広がらないように、チェーンガイドでばねの反力を利用して外から押し付けるタイプと、内側から引っ張りこむタイプとがある。チェーンテンショナー、オートテンショナーとも呼ばれる。 |
テンションプーリー |
張り車。ベルトで動力を伝える装置でベルトが弛まないようにばねや重りによって張りをあたえる働きをするもの。 |
テンションレデューサー |
シートベルトを装着した時の圧迫感を少なくするため、ベルトを巻きこむ力(テンション)を小さくする(レデュース)装置。ベルトを巻きこむばねが強いものと弱いものを備え、その切り替えをカムやドアの開閉時にレバーの動き、電磁石などを利用して行う仕組みになっている。 |
テンション・ロッド |
サスペンションアームとしてIアームを使うサスペンションで、Iアームの先端とアクスルより前方のボディを結び、ホイールにかかる前後方向の力を前から支えるロッド。走行中、タイヤの転がり抵抗によってロッドに張力(テンション)がかかることからこの名がある。 |
デント |
くぼみ。クルマの外板に軽い接触や飛び石でできた小さなへこみ傷のこと。くぼみのできにくさを耐デント性という。 |
電動ウィンチ |
4WD車の前部に取り付けられているウィンチで、バッテリーを電源としてモニターを回し、減速機で回転を落として使用される。 |
電動格納式ドアミラー |
可倒式ミラーにモーターを組み込み、幅の狭いリフト式駐車場や狭い場所に駐車するときに運転席のスイッチによってミラーを折りたためるようにしたもの。1984年にローレルに初めて装備された。 |
電動式冷却ファン |
冷却ファンをモーターによって駆動するもの。ラジエター後方の気流温度や冷却水温を温度センサーで検出し、規定以上の温度になるとファンが回る。エンジンルーム内の通風を考慮し、エンジンの位置に関係なくラジエターを配置できるメリットがある。 |
電導体プリントガラス |
リヤウィンドとして使用する強化ガラスで、電導性のある金属粉を熱処理前のガラス面に縦または横にすだれ状にプリントしておき、ガラス強化の熱処理を利用して焼き付けたもの。通電してガラスを暖め、曇りを除くのに利用する。 |
電動パワーステアリング |
操舵力のアシストに電動モーターの駆動力を直接利用するシステム。ラックアンドピニオンを基本として構成され、ピニオンを駆動するピニオンアシスト方式と、ラックを動かすラックアシスト方式とがあり、ステアリングのトルクや回転速度、車速などのセンサーからの信号によって電子制御される。 |
電熱式自動チョーク |
自動的にチョークを作動させる装置の一つ。バイメタルの回りを電熱コイルで囲った構造になっており、エンジンが冷えた状態で閉じられているチョークバルブが、エンジンがかかって発電機から電気が送られるとバイメタルが暖められて伸び、徐々に開く仕組みになっている。 |
テンパータイヤ |
米国のファイアストン社が提唱したスペア専用タイヤのテンパースペアの一般的な呼び名。後にTRA規格にTタイプタイヤとして採用され、78年式GM車に初めて装備された。 |
テンパトファン |
トヨタのファンカップリングの名称で、ファンの回転数を制御するシリコンオイルの量を、カップリングの前に付けられた渦巻き状のバイメタルによってコントロールするもの。バイメタルはラジエター後方の気流温度を検出しシリコンオイルの通路を開閉する。 |
テンモード |
排出ガスの濃度を測定するための走行パターンで、48年規制に採用された。信号のある都市内の走行を想定し、充分暖機運転を行ってエンジンを定常状態にしてから行われる。10種の運転方法(モード)を続けて6回繰り返し、2回目から6回目までの5回分の排出ガスに含まれる特定の成分の重量を測定する。 |
テンモード燃料 |
テンモードで得られた排出ガスの測定値をもとに、計算によって得られた燃費。燃料は大部分が炭化水素であり、炭素は燃焼して二酸化炭素、一酸化炭素、未燃焼の炭化水素の形で排出されるので、排出ガスの中のこれらの成分の重量が分かれば、どれだけの燃料が消費されたかが分かることになる。 |
と行
ドア |
乗用車のドアは、一般に外側のアウターパネル(外板)と内側のインナーパネルを合わせ、窓ガラスを囲む枠(サッシ:ドアフレーム)を取り付けた構造になっている。これをサッシドアと呼ぶ。サッシ付きのドアにはドアフレームとアウターパネルを一体にプレス成形して作られるものがあり、これはプレスドアまたはフルドアと呼ばれる。 |
ドアアームレスト |
ドアの裏側に取り付けられているひじかけ。 |
ドアウィンドガラス |
サイドウィンドガラスのうちドアの部分に取り付けられているもの。 |
ドアガラス吸い出され |
高速走行中のクルマの側面に発生する負圧によってドアガラスが外側に押され、ガラスが締まりにくくなったり、室内の空気が吸い出される音や風を切る音が高くなる現象。このときの荷重は車速の二乗に比例し、横風を受けるとその値はさらに大きくなる。 |
ドアガラスラン |
ドアフレーム(サッシ)のガラスと接触する部分に取り付けられているストリップで、ガラスが昇降するときのガイド。ガラスとサッシの間の気密や水密を保つほかに走行中やドアを閉めた時のガラスの振動を吸収する働きもする。表面にナイロンを植毛したものや、ウレタン系の樹脂をコーティングしてガラスとの密着性を良くするとともに、寒冷地での凍結を防ぐようにしたものなどがある。 |
ドアコーテシーランプ |
ドアを開けたときに、室内の足元や、足を踏み出す路面を照らすランプ。ドアステップランプともいう。コーテシーは特別扱いの意。 |
ドアチェックリンク |
ドアを半開きにした状態で保持し、さらに全開にしたときにストッパーの働きをするリンク。チェックは抑制したり止めたりすることを意味する。ドアの開度は60〜70度が一般的である。 |
ドアトリム |
ドアパネルを覆う部材。パネル全体を覆うフルトリムとパネルの一部がむき出しになっているハーフトリムがあり、構造によってドアパネルにトリムを張り付けただけの平物ドアトリムと、アームレストなどを一体に成形した成形ドアトリムに分けられる。室内装飾だけでなく遮音、吸音、衝突時の乗員の保護などの機能を持つ。ボディサイドトリムともいう。 |
ドアパネル |
ドアを構成する金属やプラスチックを加工した板。 |
ドアハンドル |
ドアの把手。ドアの外側の把手をドアアウトサイドハンドル、内側の把手をドアインサイドハンドルと呼ぶ。動かし方によってハンドル全体を引き上げるプルアップ式と、片方がヒンジになっているプルライズ式に分類される。 |
ドアヒンジ |
ドアを開閉する際に支点となる蝶番。上下2個のヒンジが用いられるのが普通。鋼板プレスまたは鋳鉄製で、ブッシュに含油焼結合金などを使って滑らかに回転するように作られている。 |
ドアフレーム |
ロールサッシとも呼ばれ、ドアに取り付けられている窓枠(サッシ)のこと。乗用車のドアは窓ガラスを囲む枠の有無によってサッシドア(サッシ付き)とサッシレスドア(サッシなし)の2種類に分類される。 |
ドアミラー |
左右のドアに付けられているアウターミラーで、サイドミラーという場合このドアミラーを指す。欧米の乗用車のほとんどがこのミラーを以前から使っているが、日本では法規制の関係で1983年秋からフェンダーミラーにかわり普及し始め、ポピュラーになった。スタイル上の有利さのほかにミラーの面積が大きくとれ、多くの場合平面鏡で、後方の車との距離が分かりやすいという利点があるが、車幅が広くなり、車庫入れの時邪魔になることがあるのが難点。このため、スイッチによって折りたためるようになっているもの(電動格納式)もある。 |
ドアロック |
ドアがドアハンドルを操作しても開かない状態にあること、またはその状態にすること。ドアのかぎ、錠。日本語のかぎはドアに取り付けられている本体の錠(ロック)と、施錠、解除するかぎの両方を意味する。 |
ドアロックストライカー |
ボディに取り付けられているピンやフックで、ドアロックに内蔵されたラッチ(爪)と噛み合ってドアを閉じた状態に保持するもの。ストライカーはドアを閉めた時に、あたることを意味するストライクからきた言葉で、打ち当てられるもののこと。 |
透過照明式計器盤 |
アクリルなど透明なプラスチックに、光を透過するインクで数字や文字を印刷し、バックライトで照明する文字盤で、指針も同様に照明されるのが普通。透過照明に対して、光を当てて照明するやり方を反射照明という。 |
同期噴射 |
ガソリンエンジンのマルチポイント・インジェクション(MPI)で、各気筒の吸入行程に合わせて(同期させて)燃料噴射を行うシステム。シーケンシャル・インジェクション、順次噴射あるいは独立噴射とも呼ばれる。 |
同時噴射 |
ガソリンインジェクションで、全気筒に対してエンジンの1回転事に一斉に燃料を噴射する方式。噴射弁の駆動回路が簡単で、4気筒エンジンの多くがこの方式を採用している。一斉噴射ともいう。 |
同相操舵 |
同位相操舵ともいい、四輪操舵システムで後輪の操舵の方向が前輪と同じ(同相)場合をいう。クルマの走行安定性が重視される高速走行時に、急にハンドルを切った時やレーンチェンジを行ったときのヨーイングが少なく、クルマの挙動が一般の前輪操舵の場合に比較して安定している。 |
等速ジョイント |
ユニバーサルジョイントの一種で、カルダンジョイントの角速度変動をなくす(等速)ように改良したもの。FF車の駆動軸に多く使用されており、バーフィールド型ユニバーサルジョイント、ゼッパ型ユニバーサルジョイント、トリポード型ユニバーサルジョイントなどがある。 |
動的アンバランス |
静的バランス(回転軸周りの周方向の質量の釣り合い)のとれたタイヤを回転させたときにあらわれるタイヤの軸方向の質量不均一性をいい、回転軸にすりこぎ運動を起こさせるようなアンバランスのこと。 |
動倍率 |
静ばね定数に対する動ばねの定数の比をいい、エンジンマウントや防振ゴムの振動の減衰の目安とされるもの。一般に防振ゴムではゴムの粘弾性のために定的なばね定数よりも動的なばね定数が大きく、その値はゴムの材料によって異なっているが、動倍率が大きいと減衰係数も大きい。動ばね定数は周波数によって変わるので測定時の周波数が示される。 |
動ばね定数 |
防振ゴムに振動を与えたり、タイヤを回転させるなど物体に動的な変形や荷重を与えた状態で測定されたばね定数。 |
等容度 |
エンジンの理論サイクルの一つであるサバテサイクルで、圧縮行程の終わった時点での燃焼室内の圧力と最大圧力の比をいう。 |
等量比 |
ガソリンエンジンで、理論空燃費を供給された混合気の空燃費で割ったもの。この逆数を空気過剰率という。 |
踏力 |
ペダルを踏むのに必要な力のこと。 |
動力 |
単位時間に行われる仕事をあらわす仕事率の呼び方の一つ。 |
ドエルアングル |
点火装置の接点(ポイント)が閉じてから開くまでの間にカムが回転する角度のこと。ポイントのない点火装置ではイグニッションコイルの一次電流の通電時間を角度に換算し、トランジスター点火装置ではトランジスターの通電時間を角度に換算していう。 |
トーイン |
トーは足の先の部分、つま先のことで、タイヤの先端が内側(イン)を向いていること及びその度合い。車軸の中心の高さで左右のタイヤの前端と後端の間隔を測り、その差をoであらわしてもの。逆に前開きのものをトーアウトという。主としてタイヤにキャンバーを付けたときに発生する横向きの力をキャンセルために利用される。 |
トー角 |
クルマの前後方向中心面と片側のホイールの中心面が車軸の中心の高さでなす角。 |
トーショナルダンパー |
トルク変動による回転軸のねじり振動を吸収する装置。回転軸の回りにゴム(ラバーダンパー)やシリコンオイル(オイルダンパー)などを介してマス(質量)となるスチール製のリングを付け、ゴムやオイルの粘弾性を利用してトルク変動を吸収するもので、クランクダンパーやダンパープーリーなどがその例。トーションはねじりを、ダンパーは振動を減衰させるものを意味する。 |
トーションバー |
トーションバースプリングを略したもので、トーションはラテン語でねじったものに語源をもつ英語。ばね鋼で作られた棒をねじったときに得られる弾性をばねとして利用するもので、大きなストロークは取れないが軽く簡単な構造で、効率のよいスプリングとして小型車に採用されている。 |
トーションビーム式サスペンション |
セミリジッドアクスル式とも呼ばれ、トレーリングアーム式サスペンションで、左右のトレーリングアームをクロスビームと呼ばれる梁でつないだ形式のサスペンション。クロスビームの取り付け位置によってアクスルビーム式、ピボットビーム式、カップルドビーム式があり、小型FF車の後輪に多く採用されている。左右のアームがつながっているので車体のロールによってビームがねじられ、スタビライザーの効果がもたらされるという特徴を持つ。 |
トータルギヤレシオ |
エンジンの出力軸の回転速度と駆動輪の回転速度の比のことで、全減速比あるいはそう減速比という。一般にはトランスミッションの変速比と、ディファレンシャルギヤの減速比をかけた数値が使われる。 |
ドームライト |
室内灯を指すアメリカ英語で、イギリスではルーフライトが一般的。アメリカでルーフライトといえば一般にハイウェイパトロールなどの屋根の上で点滅している赤色灯のことを指す。 |
読書灯 |
セダンやリムジンの後席に設けられている書類や本を読むための照明。リヤパーソナルランプともいう。 |
ドスン音 |
マニュアル・トランスミッションでギヤチェンジで急にクラッチをつないだ時や、オートマチック・トランスミッション車で停車中にシフトを変えたときなど、駆動系に急激なトルクがかかって発生するドスンという音。 |
ドッグクラッチ |
噛み合いクラッチ。常時噛み合い式変速機で、ギヤと並べて軸方向に台形の歯を持ったクラッチを取り付け、ギヤの組み合わせをこのクラッチの断続によって行う。クラッチの形が犬の鋭く頑丈な歯をイメージさせることからドッグクラッチと呼ばれるようになった。 |
トップギヤ |
マニュアルシフトで最高速度の出せるギヤ。ギヤ比はエンジンと直結されていて1となっているものがほとんどである。 |
トップシェード |
ウィンドシールドガラスのルーフに近い部分に、ブルーやブロンズの透明なカラーを付けて視野を妨げないで眩しくないようにしたもの。シェードバンドガラスとも呼ばれる。 |
トップハット |
シルクハット(礼装用の帽子)のことだが、クルマ用語としてはブレーキディスクをホイールのハブに取り付ける部分のこという。形がトップハットに似ていることから名付けられたもの。 |
トップリング |
ピストンリングの名称の一つで、通常2本あるコンプレッションリングのうち、ピストンクラウンに近い側のもの。主として燃焼ガスをシールする働きをする。 |
ド・ディオン式サスペンション |
リジッドアクスルサスペンションの一種で、FR車のリヤサスペンションとして用いられ、1本の車軸(ド・ディオンアクスル)で左右の車輪を結び、ディファレンシャルギヤボックスは別にして車体に取り付けられている形式のもの。フロアを低くでき、ばね下重量が軽いので乗り心地が良くロードホールディングに優れ、旋回中にタイヤの対地キャンバー変化がないなどの利点があるが、構造が複雑でコスト高になるのは避けられない。 |
登坂性能 |
自動車がどれだけの勾配まで登れるかの能力のことで、積車状態の車両がローギヤで登りうる最大の勾配を最大駆動力から計算して求める。実際に登坂性能が問題となる山岳道路の走行では、標高が高くなることによるエンジンの出力低下や、タイヤや路面の状態、駆動輪にかかる荷重の変化などによって自動車が昇りうる坂の勾配は大きく変わる。 |
飛火不良 |
スパークプラグが発火しないこと。 |
止めねじ |
マイナスドライバーや六角棒スパナでねじ込み、部品を押して固定するねじで、先端の形によって平先、丸先、棒先、とがり先、くぼみ先などがある。 |
ドライサンプ |
エンジンの潤滑方式の一つで、ウェットサンプと対比して使われる用語。潤滑油を留めておくオイルタンクを設け、オイルポンプで潤滑の必要な箇所に給油し、サンプ(オイルパン)に落ちたオイルをスカベンジポンプで別のタンクに送り、ここで空気が混ざって泡立ったオイルから空気を分離し、タンクに戻すというやり方。ドライは乾いていることを意味し、濡れていることを意味するウェットと対に用いられ、ウェットサンプに対してオイルの量が少ないのでドライサンプという。システムが複雑になるが、オイルパン部分が浅くなるのでエンジン高を低くすることができ、溜まっているオイルが少ないため加減速や旋回時のオイルの片寄りによるトラブルがないことからレース用など高性能エンジンに使われるシステム。 |
ドライスタート |
エンジンの始動時に潤滑油が充分に行きわたっていないこと。長い間、停止していてエンジンを始動した時、数秒間はオイルポンプからエンジンオイルの供給量が足りなくなる。エンジンの回転部分の摩耗は大部分このときに起こる。 |
ドライビングポジション |
運転手が座っている位置。クルマを運転するための装置や計器類、シートなどの位置や配置は、設計にあたってある範囲の基準となるドライビングポジションを仮定して決められている。常識から外れたドライビング姿勢は運転の快適性を損なうと同時に危険でもある。 |
ドライビングミラー |
後方を確認するための鏡。 |
ドライビングライセンス |
運転免許証のこと。 |
ドライビングランプ |
ヘッドランプとして追加使用されるランプで、遠方を照らす目的として装備され、照射角をしぼったナロウスポット、水平方向に光を拡散させるワイドスポット、両者を組み合わせたフラットスポットなどがある。 |
ドライビングコンピューター・システム |
ニッサンの情報表示システムのこと。 |
ドライブシャフト |
駆動軸。終減速装置から車輪に駆動力を伝える回転軸で、インディペンデントサスペンションの場合、ユニバーサルジョイントによって角度が変わっても軸の回転を伝え、軸方向に伸縮できる機能を備えている。前輪用のフロントドライブシャフトには車輪側のユニバーサルジョイントに操舵のための大きな屈折角のとれる固定型等速ジョイントを、終減速機側には許容角度は小さいが軸方向に伸縮可能な摺動型等速ジョイントが使われるのが一般だが、後輪用のリヤドライブシャフトにはこのような制限がなく、様々なタイプのユニバーサルジョイントが使われている。 |
ドライブスプロケット |
チェーン用の歯車で駆動する側のもの。自転車ではペダル側についているスプロケットのこと。 |
ドライブ・バイ・ワイヤー |
自動車の機械的なリンケージを電気的なリンケージに置き換えて、自動車の基本的な操作を電子制御技術によって行うもの。 |
ドライブライン |
動力伝達装置。 |
トライボロジー |
摩擦、摩耗、潤滑など、相対運動をしながら互いに作用しあう表面や、これに関連した実際的な諸問題を対象とするサイエンスとテクノロジーをいう。自動車技術はエンジンや駆動・制動系はもとより運動機能に至るまで、あらゆる面でドライボロジーが重要な関係を持っている。 |
ドライライナー |
水冷エンジンのシリンダーライナーで、ライナーは水に触れず、冷却はシリンダーブロックの壁を隔てて行われるもの。 |
トラクション |
エンジンと駆動系によってつながれたタイヤのトレッドと路面の間に働くクルマを駆動する力のこと。 |
トラクションコントロール・システム |
駆動力制御システム。氷雪道や砂利道など滑りやすい路面で発進、あるいは加速するとき、過剰な駆動力によってタイヤが空転しないようコントロールするもの。燃料の噴射量、点火時期、スロットルバルブなどの制御を行ってエンジンの出力を下げ、駆動力を小さくする方式が普通だが、駆動輪にブレーキをかけるシステムもある。 |
トラクションパターン |
オフロード用タイヤや農耕用タイヤに多く見られるラグパターンの一種で方向性があり、V字型のパターンによって非舗装路面で大きな牽引力を得るもの。 |
トラクタジョイント |
ユニバーサルジョイントの一種で、たがいに?み合う特殊な十字型のジョイントをヨーク(Y字型のジョイント)でつないだ構造のもの。制作が簡単で安いため、1950年代までジープやニッサンパトロールなど小型4WDの前輪駆動用に使われた。 |
トラクティブ・フォースバリエーション |
タイヤを車軸と路面の間の距離を一定にして転がしたとき、接地面に発生する力の変動(フォースバリエーション)のうちタイヤの前後方向の成分をいう。トラクティブは牽引する方向のという意味で、接線方向のという意味のタンジェンシャルという言葉を使ってタンジェンシャル・フォースバリエーションともいう。 |
ドラッグスター |
静止状態から発進し、400メートルをいかに短時間で走るかを競うドラッグレース用に製作されたクルマ。市販車を改造して作られたホットロッドから、本格的な専用競技車まで様々なものがある。 |
ドラッグリンク |
ナックルアームとピットマンアームまたはセンターアームをつなぐリンク。ドラッグは引っ張るという意味。 |
トラニオンジョイント |
ユニバーサルジョイントの一種で、回転トルクを伝えると同時に軸方向に伸縮が可能なタイプの一つ。トラニオンは大砲の砲身を放架にかける軸のことで、ジョイントに使うには多少オーバーな名前だが、その軸の両端にベアリングをはめ、軸に直角に回転できるようにしたものを、コップの形をしたハウジングの中に溝を作って入れた構造となっている。類似したメカニズムを駆動系に利用したものにトリポード型ユニバーサルジョイントがある。 |
ドラムイン・ディスクブレーキ |
ディスクブレーキのトップハット部に駐車ブレーキとして使うドラムブレーキを組み込んだもの。 |
ドラムブレーキ |
ホイールと一体になって回転する円筒の内面に、向かい合った2個の半月形の摩擦部材を押しつけて制動力を得る装置。以前はこれが主だったが、現在は乗用車の後輪やトラックに使用されている。 |
トランク |
荷物を入れるトランクから来た用語で、自動車ではラゲージコンパートメントのこと。トランクルームともいう。 |
トランクスルー |
3ボックスの小型乗用車で後席のシートバックの一部が前に倒れ、キャビンとトランクルームがつながるようになっているもの。トランクルームに収まりきれない長い荷物などを積むのに便利。 |
トランクリッド |
乗用車の荷物室のふたのこと。 |
トランジスター |
シリコンやゲルマニウムを主成分とした半導体を組み合わせて電流の整流、増幅、断続などの働きを行う電子部品の総称。 |
トランジスター式点火装置 |
ガソリンエンジンの点火にトランジスターを使用する装置で、フルトランジスター点火装置とセミトランジスター点火装置がある。 |
トランスアクスル |
トランスミッションとファイナルドライブギヤを同じケースに組み込んだユニットで、FF車やFR車の大半が採用している駆動系の機構。エンジンと一体になっているのが普通だが、ポルシェ928のように重量配分を良くするためフロントエンジンでリヤにトランスアクスルを配置している例もある。 |
トランスバースリンク |
サスペンションの部品で横方向におかれたリンクやアームをいい、横向きの力を支え、ホイールの動きを規制するもの。 |
トランスファー |
四輪駆動でトランスミッションからくる動力を前後輪に分けて伝える装置。トランスファーは物を移動するという意味。フルタイム4WDで差動装置が組み込まれた場合センターデフと呼ばれる。 |
トランスミッション |
変速機、変速装置。手動式と自動式がある。自動車のエンジンは回転方向が一定で、発生するトルクは回転速度によって変化するが、実際に使われる速度範囲ではほぼ一定である。一方クルマは後退もし、走行速度と走行に必要なトルクは広い範囲にわたって変化するので、ギヤを利用して走行条件にマッチした状態を作るためにこの装置が利用される。実際の装置では、2〜3本のシャフトに数個ずつギヤを付け、それらの組み合わせを変えることによってエンジン側から伝えられた回転数を小さくし、回転トルクを大きくしてタイヤ側のメインシャフトに伝える。例えばギヤの歯の数がエンジン側1に対して2とすれば、ある時間当たりの回転数は半分になるが回転トルクは2倍になって伝えられる。 |
トランスミッションオイル |
略してミッションオイルとも呼ばれる。変速機に使用されている潤滑油のこと。マニュアル・トランスミッションとオートマチック・トランスミッションではそれぞれの使用条件に伴った潤滑油が使用される。 |
トランスミッション・ギヤノイズ |
トランスミッション内のギヤから発生する音で、歯が噛み合ったときに発生する振動がトランスミッションケースやシフトレバーを伝わって室内で聞こえるもの。 |
トランスミッションケース |
変速装置を収納するケース。 |
トランピング |
主としてリジッドアクスルサスペンションで左右のタイヤが上下逆方向に揺れる現象。左右の足で激しく地面を踏んで悔しがることを地団太を踏むということから、このことをじだんだ現象ともいう。 |
トリップコンピュータ・システム |
三菱の情報表示システムの名称。 |
トリップメーター |
走行距離系でボタンを押すとゼロに戻すことができるもの。 |
ドリフト走行 |
コーナリング中にアクセルやブレーキのコントロールによってタイヤを横に滑らせながら走るテクニック。アクセルコントロールによって前輪を横に滑らせることをフロントドリフト、リヤを滑らせることをリヤドリフトという。またFR車でフロントドリフトと同時に後輪に強い駆動力を与えてリヤもドリフトさせることをパワードリフト、または前輪ドリフトという。リヤドリフトをドライバーがコントロールできなくなった状態をスピン、スロントドリフトによってクルマがコーナー外側にはらんでいくことをドリフトアウトという。ブレーキングドリフトはラリー走行で使われるテクニックで、ブレーキングによってフロント荷重を増やし、リヤを外方向に振り出すもの。レーシング走行や、滑りやすい路面での走行に使われる高度な運転技術で、コースアウトの危険があり、熟練が必要。 |
トリプルコーンシンクロ |
シンクロナイザーリングをアウター、ミドル、インナーの三つに分け、摩擦コーン面を増やしてシンクロの操作力を低減したもの。 |
トリプル・ビスカス |
ニッサンのビスカスカップリングを3個使用したフルタイム4WDの名称。前後のディファレンシャルにビスカスカップリングを備えると同時に、トランスファーにビスカスカップリングを取り付けた構造で、前後左右のホイールが路面との摩擦力を失って空転しようとしても、ビスカスカップリングの働きによって残りのホイールが路面をしっかりとグリップし、安定した走行ができる。 |
トリプルモード・デュアルエキゾースト・システム |
マツダの可変排気システムのこと。 |
ドリブンスプロケット |
チェーン用の歯車で駆動される側のものをいう。 |
トリポード型ユニバーサルジョイント |
等速ジョイントの一種で、3本のピンとこれと組み合わされた3個のローラーを向かい合ったチューリップ形のハウジングで保持する構造で、回転軸を伝えると同時に軸方向にスライドできるように作られているもの。軸方向の動きを固定したGEとスライド式のGIがあり、駆動系で車軸の固定されたホイール側にGEを、車軸が伸縮するGIをファイナル側に組み合わせて使用される。類似した機構をステアリングシャフトに利用したものにトラニオンジョイントがある。 |
トリム |
シート、フロア、内張りなどの内装。ウィンドやドアなどの回りに配置されているもの。 |
トリムレス天井 |
ヘッドライニングの端を縁取るとリムのない作りの天井。 |
トリメタル |
三層軸受。三層の金属を張り合わせたベアリングのことで、鋼の裏金にケルメットを溶着し、さらにホワイトメタルのごく薄い層を設けたものがその例。 |
トルク |
あるものを、ある点の回りに回転させる効果を示す量で、回転モーメント、ねじりモーメント、力率とも言われ、力の大きさと力のかかる点から回転の中心点までの長さの積で示される。自動車ではエンジンが発生するトルクを指すのが普通で、エンジンのトルクが大きいと加速が良く、運転しやすい。 |
トルクコンバーター |
流体を使って動力を伝える装置で、トルクを増幅する機能のあるもの。コンバーターは変換機の意味で、ミニュアルトランスミッション車におけるクラッチとトランスミッションの働きの一部を同時に行い、エンジンの回転力を2〜3倍に強める働きをする。普通トルコンと略して呼ばれる。ドーナツ形のケースの中に向かい合った羽根車をセットしてオイルを満たし、エンジンの動力によって回転するポンプ羽根車でオイルの流れを作ってタービン羽根車を回すという流体クラッチと似た構造だが、二つの羽根車の間にステーターをおいて流れをコントロールし、ポンプ羽根車の油圧を高めるのがトルコンの特徴。 |
トルクステア |
前輪駆動車や四輪駆動車で操舵輪に大きな駆動力がかかった時、路面状態や荷重配分の違いによって左右のタイヤのグリップが異なると、あたかもハンドルを切ったかのようにクルマが偏向したり、ハンドルをとられたりすることがある。これをトルクステアといい、左右のドライブシャフトの長さや傾きが違うクルマでこの現象が起こりやすい。 |
トルクスプリット |
スプリットは分けることで、装置に入力されたトルクを2系統あるいはそれ以上に分割すること。通常、4WDでトランスファーによって駆動トルクを前後輪に分配するする場合に用いられ、前輪または後輪の一方を常時駆動し、ビスカスカップリングなどで他方の車軸に回転差が生じた場合のみ、自動的にトルク配分されるパッシブトルクスプリットと、電子制御の摩擦クラッチによって前後あるいは左右に状況に応じたトルク配分を行うアクティブトルクスプリットとがある。 |
トルクスプリット式4WD |
トランスファーによって駆動トルクを前後輪に配分する装置を持つ4WD。前輪または後輪の一方を常時駆動し、他方の車軸には回転差が生じた場合のみ自動的にトルクが配分されるパッシブトルクスプリット式と、電子制御の摩擦クラッチによって前後あるいは左右に、状況に応じたトルク配分を行うアクティブトルクスプリット式がある。通常、トルクスプリット式4WDというと、後者のアクティブトルクスプリット式を指す。 |
トルクチューブドライブ式サスペンション |
リジッドアクスルサスペンションの一種で、リンクがディファレンシャルケースから前方に伸びて車体とジョイントを介して結ばれ、中にドライブシャフトを通したエキステンションを中心に、左右のロアリンクとラテラルロッドを組み合わせた構造のもの。アッパーアームがないのでフロアを低くでき、トルクチューブが駆動系の駆動・制動力とその反力を受け止めるためドライブラインの振動が少ない利点がある。 |
トルク特性 |
エンジンをその回転数と軸トルクとの関係から見てその特性とするもので、エンジンの回転数と軸トルクの関係をあらわすグラフによって示される。通常使用される回転数の範囲でグラフの曲線が平坦なエンジンは、回転数が多少異なってもトルクが変わらないので一様な加速が得られ、フレキシブルなエンジンという。逆にグラフに山のあるエンジンはその回転数で大きなトルクが得られるが、この回転数から外れるとトルクが小さく、ピーキーなエンジンといわれる。 |
トルク比例式LSD |
リミテッドスリップデフの一種で、デフに入力されるトルクに比例して左右の駆動軸のトルクが変化するようになっているもの。多板クラッチ式LSDやトルセンLSDなどが代表的。 |
トルク変動 |
ガスの燃焼異常などによってエンジンの軸トルクが変化すること。ある周期で変動することが多く、サージや振動の発生原因となりやすい。 |
トルクロール軸 |
エンジンから動力が発生し、クランクシャフト周りにトルクが働いたとき、エンジンは一つの剛体として前後方向の軸を中心に回ろうとするが、その回転軸をいう。エンジンマウントをこの軸上に配置すると、理論上エンジンは回転振動をするだけで余分な動きをしない。このようなエンジンの支持方法を比連成支持という。 |
トルクロッド |
アクスルやプロペラシャフトのトルク反力を支える棒。通常リジッドアクスルとボディを結びデフより上に付けられているものをいう。アクスルとボディをつなぎ、前後方向の力をさせる働きをするラジアスロッドがトルクロッドとして働くサスペンションもある。 |
トルセンLSD |
3種類のギヤの組み合わせからなり、差動制限の応答性が良いことを特徴とするトルク比例式LSDの一種。スラストワッシャーを介して左右の駆動軸につながれた2個のウォームギヤの周囲を、2個ずつ対になったスパーギヤのついたウォームホイール6個が三角形をなして取り囲んだ構造になっている。左右のホイールの回転速度が変わると、デフケース全体は左右の速度を平均した速さで回転しているので、ウォームギヤの歯面の摩擦力によって速度の速い方のシャフトには減速力が、遅い方のシャフトには加速力が働き、結果として遠い方に配分されるトルクは小さく、遅い方に多くのトルクが配分されるもの。 |
ドレンプラグ |
オイルパンやギヤボックスなどに溜められた潤滑油を抜くためのもの。 |
トレーリングアーム式サスペンション |
スイングアーム式サスペンションの一種。トレールの意味は引きずるで、スイングアームに導かれてタイヤがついていくタイプのサスペンション。小型FF車のリヤサスペンションに多く採用されており、フルトレーリングアーム式、セミトレーリングアーム式、トーションビーム式がある。 |
トレーリング・エッジ |
ボディ最後部の端。ここの形状によって車体から離れる空気の流れが大きく変わる。 |
トレーリングシュー |
ドラムブレーキでブレーキシューをドラム内面に押しつけるとき、ドラムの回転方向に対して手前にシューの支点を置き、先方の作用点としてドラムに押しつけるタイプ。リーディングシューと対比して使われる用語で、トレールは引きずる、リードは先に立つという意味。 |
トレーリング・ボルテックス |
飛行機の翼端後方に発生する渦をいい、圧力の低い翼上面に翼端の下面外側から空気が回りこむことによって発生するもの。転じて、クルマのクォーターピラー付近やリヤフェンダー後端から発生し、後方にできる過流もトレーリング・ボルテックスと呼ぶ。高速道路で路面が濡れている時、タイヤから上がる水しぶきの動きでこれを観察できることがある。 |
トレール |
車輪の上下方向中心線とキングピン中心線の路面との交点の水平距離。この値が大きいと車の直進安定性は良くなるが、ハンドルは重くなる。タイヤのねじれによって発生するニューマチックトレールと区別する場合、メカニカルトレールと呼ばれる。 |
トレッド |
車が通った後に残る二本のタイヤトレッドの跡の間の長さ、即ち左右のタイヤのトレッドの中心間の距離をいう。タイヤが路面と接する部品のゴムの層をいい、トレッドパターンが刻まれる。タイヤの駆動力、制動力、旋回力などを路面に伝える部分であり、この部分のゴム特性はタイヤの特性を大きく左右する。 |
トレッドウェアインディケーター |
一般にスリップサインという名称で知られているタイヤの摩耗表示。タイヤのトレッドの一部分を規定の深さに浅くしてトレッドが摩耗するとパターンがつながって見えるようにし、タイヤの寿命が限界にきていることを示すもの。乗用車ではドレッドの周りに4箇所以上に残溝の深さが1.6oになると表面に現れるようにしてあり、その位置が分かりやすいように近くのサイドウォールに△の記号が刻まれている。 |
トレッドコンパウンド |
コンパウンドは複合物、混合物の意味。タイヤのトレッドに使われているゴムのこと。タイヤのトレッドゴムはベースとなる天然ゴムや合成ゴムなどのポリマーにカーボンブラックや鉱物油をはじめいろいろな薬品を混ぜたものからできている。 |
トレッドパターン |
タイヤのトレッドに刻まれた模様のこと。トレッドパターンはタイヤの基本的な機能である駆動、制動、旋回性能はもちろんのこと、乗り心地や騒音、摩耗、ころがり抵抗といったあらゆる特性に関係する。模様の形からリブ、ラグ、リブラグ、ブロックなどのパターンに分類されるが、最近のタイヤにはこれらをミックスした中間的なパターンとなっている。 |
トレビシックの蒸気自動車 |
蒸気機関車の発明者のトレビスックは、最初に人を乗せられる蒸気自動車を作り、1801年のクリスマスイブに試運転を行った。ただ、このクルマの図面が復元されているだけで実物は残されていない。 |
トロコイド |
円が一つの曲線上をころがるとき、その円の半径またはその延長上の一点が描く曲線。曲線が真っすぐな直線の場合、円がこの上をころがるときに、その周りの一点が描く曲線をサイクロイドという。 |
トロコイドポンプ |
五弁の梅の花型の特殊な内向曲線を持つアウターローターの中に四つの突起を持つインナーローターを入れて回転させると、両ローターの間の容積が変わることを利用してポンプとして使用するもの。両ローターの接点が内転トロコイド曲線を描くのでこのように名付けられた。オイルポンプとして使用されている。 |