自動車用語集 | や・ゆ・よ

や行

焼入れ

金属を加熱して高温にした後急冷し、硬さを増す操作。主に鋼鉄を硬くするために行われるが、ジュラルミンなどほかの金属で効果のある場合もある。

焼付

金属の滑り面が摩擦熱によって高温となり融着する現象。代表的な例はピストンとシリンダーが焼きつくピストン焼き付き。

焼付硬化性

ベークハード性、BH性ともいい、金属が塗装の焼き付け工程で加熱されたとき、降伏点が高くなり硬くなる性質。焼付硬化性鋼板はこの性質を利用した加工性が良く、デントの生じにくい外板として広く採用されている。アルミニウムをボディ材料として使用したホンダNSXの場合、アルミは強度は高いが脆い性質があるため、やや強度は低いがプレスでひびが入ったり割れたりしにくい材料の状態で加工し、このベークハード性を利用して最終的には強度の高いボディを得ている。

焼付硬化性鋼板

BH鋼板ともいい、塗装の焼付け行程で加熱することによって硬化する性質を持つ鋼板。冷間圧延鋼板の一種で、プレス成形を行うときには比較的柔らかいので加工しやすく、塗装焼付け後硬くなって変形しにくくなることから、フード、ドア、フェンダーなどの外板に使用される。

ゆ行

油圧アクティブサスペンション

1989年にニッサンインフィニティに採用されたセミアクティブサスペンションで、各種センサーによってクルマの走行状態を感知し、マイコンで前後左右のサスペンションに取り付けられているアクチュエーターの油圧をコントロールし、車高、ローリング、ピッチングとハウジングの制御を行うもの。

油圧駆動

動力を伝える方法の一つで、油圧を発生する油圧ポンプと、油圧で動く油圧モーターを組み合わせて動力を伝えるもの。

油圧クラッチ

油圧によってクラッチを動かすシステムで、ペダルを踏むとマスターシリンダー内のピストンがオイルの圧力を高め、この圧力でクラッチレリーズシリンダー内のピストンが動き、クラッチレリースフォークを押してクラッチレリーズベアリングについたプレッシャープレートがクラッチディスクから離れ、クラッチが切れる。

油圧計

オイルプレッシャーゲージとも呼ばれる。オイルポンプによって圧送されたオイルが、オイル系を循環している圧力を表示する計器。油圧は温度によって変化するので、油温計とペアで使われるのが普通。

油圧警報装置

エンジン油圧の異常な低下を警告する装置。油圧が0.2〜0.3sまで下がると赤い警告灯が点灯するようになっているのが普通。

油圧制御装置

自動変速機でプラネタリーギヤのギヤ比を油圧によってコントロールする装置。出力軸のトルク変動の制御も併せて、滑らかな変速を行う。

油圧バルブリフター

OHVエンジンでバルブリフターのバルブクリアランスをなくし、バルブ開閉時の騒音を低減するための装置の一つ。バルブリフターとプッシュロッドの間に油圧室を設け、リフターの運動を油圧を介してプッシュロッドに伝える仕組みになっており、バルブの熱膨張は油圧室で吸収され、バルブクリアランスはゼロとなる。

油圧ブレーキ

ブレーキの操作力をマスターシリンダーによって油圧に変え、ホイールシリンダーで機械的な力に戻して制動力を発生する機構を持つブレーキ装置。乗用車のブレーキの大部分がこのタイプを採用している。

有限要素法

連続した構造を持つ物体を三角形、四角形などの単純な要素に細分化し、それぞれの要素の挙動を連立方程式に組み立て、系全体の状態を計算によって解析するもの。コンピューターを利用した構造物の強度、振動などの解析手法として航空宇宙分野で開発され、自動車では車体の剛性や変形を図面段階で検討する手法として知られているが、現在では構造解析だけでなく流体の動きや熱伝導、電磁気関係の解析などに広く応用されている。

有効圧縮比

エンジンにおける実際に圧縮比。4サイクルエンジンでは排気孔が、2サイクルエンジンでは掃気孔が閉じられた瞬間の燃焼室の容積と、ピストンが上死点に達した時の燃焼室の容積の比であらわす。

遊星歯車式変速装置

プラネタリーギヤを用いた変速装置。

融着摩耗

潤滑油の油膜が切れて起こるスカッフィングやスコーリングのようにアブレジブ摩耗が加わって生じる摩耗。

誘導抵抗

 

気流の中に置かれた翼の後縁に出来る渦によって発生する抵抗力をいい、転じてクルマの後方に発生する渦によって生ずる空気抵抗のことをいう。

ユーロバッグ

ベンツが1981年から採用を始めたエアバッグシステムで、1976年にイートン社が発表したシートベルトを着用していないドライバーを対象としたエアバッグシステムに対し、シートベルトを着用したドライバーの顔面の傷害を予防する目的で装備されているシステム。エアバッグが小さく、システムをコンパクトに出来るので日本のメーカーもこのタイプのバッグを採用している。

油温計

エンジンの摺動部分の潤滑と冷却を行うエンジンオイルの温度を表示する計器で、サーミスターによって温度を検知する。

床下アングル

クルマがうねりや凹凸の激しい悪路を走行するとき、フロアや車体の前後と路面との干渉のしやすさをあらわす数値で、アプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプブレークオーバーアングルの三つがある。

ユニオンジョイント

ねじを利用して管と管をつなぐ部品。

ユニットインジェクター

ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプとノズルを一体にしたもので、シリンダーヘッドに各気筒ごとに取り付けられ、燃料の通路が短いので正確なタイミングで噴射が出来る特徴がある。カムでプランジャーを押して燃料を送るカム駆動式と、一度圧力を高めた燃料を配管の一部に蓄えておき、増圧ピストンでさらに圧力を高めて噴射するコモンレール式がある。

ユニディレクショナルパターン

タイヤの回転方向によって特性が異なり、指定方向にタイヤが回るようにクルマに取り付ける必要のあるトレッドパターン。

ユニバーサルジョイント

自在継手。軸の回転をある角度を付けて伝えるときに使用されるジョイントで、主としてトランスミッションからホイールまでの駆動系の連結部に使われている。構造によってフレキシブルジョイント、カルダンジョイント、トラクタジョイント、等速ジョイントなどに分類される。

ユニフォミティ

タイヤの均一性をいう。タイヤのトーラスとしての均一性をあらわすには振れ、重量アンバランス、フォースバリエーション、ラテラル・フォースデビエーションなどが用いられるが、通常、ユニフォミティといえばフォースバリエーションを指す。

ユニフロー掃気

2ストロークエンジンの掃気方式で、ガスをシリンダー内の縦方向に流す方式のものをいう。

油冷システム

エンジンが運転中に高温になると、シリンダーヘッドに冷却用のオイルを送って燃焼室上部の冷却効果を高める装置。

よ行

予圧式LSD

リミテッドスリップデフの一種。コイルスプリングやコニカルスプリングのばね荷重によって多板クラッチやコーンクラッチを押して差動制限力を発生させ、LSDとして働かせるタイプのもの。

要求オクタン価

あるエンジンに必要とされるガソリンのオクタン価で、エンジンがノッキングを起こさないために必要な最小のオクタン価をいい、この値が小さいエンジンほど低いオクタン価の燃料を使用することが出来る。トップギヤで全開加速を行い、一般走行時や高速走行時に必要なオクタン価が求められる。メカニカルオクタン価とは測定方法が異なる。

要求空燃比

ある運転状態にあるエンジンに必要な性能を得るために要求される空燃比。低出力で定常走行を行う場合には燃費が最小になるような空燃比をいう。

容積型過給機

メカニカルスーパーチャージャーとも呼ばれ、圧縮機に容積型コンプレッサーを利用する過給機。

容積型コンプレッサー

圧縮機の一種。ハウジングのボリュームを変化させて空気を圧縮するもので、ベーンコンプレッサーを使うベーン式、二個の繭型の断面をもつローターをハウジングの中で回すルーツ式、ピストンを使うピストン式がある。

ヨーイング

クルマが左右に頭を振るように動く運動で、重心を通る鉛直線の周りの回転運動のこと。

ヨーイング共振周波数

直進中のクルマに横風が当たるとか、ハンドルが切られるなどによって横方向に力が加えられ、ヨーイングが発生しても、この力がなくなるとクルマは元の直進状態に戻るように作られている。加えられた力が除かれると元に戻る運動を振動と考え、クルマがヨーイングするときの振動周波数をヨーイング共振周波数という。周波数が高いと早く元に戻るので操縦性安定性が良いと感じられる。

ヨーイングモーメント係数

モーメントは軸の周りに働く回転力で、ヨーイングモーメントはクルマの重心を通る鉛直線の周りの回転力をいう。風によるヨーイングモーメントを動圧と前面投影面積、ホイールベースで割ったものをヨーイングモーメント係数といい、小さいほどヨーイングが出にくいことを示す。

ヨーレイト

ヨー角速度ともいい、クルマの重心を通る鉛直線のまわりの回転角の変わる速さのこと。

ヨーロッパタイヤリム技術機構

通常ETRTOと呼ばれるヨーロッパのタイヤメーカーとホイールメーカーを中心とする関係団体によって構成される組織。

翼端板

ウイングの両端に垂直に付けられている板。ウイングでは下側の空気が上側より速く流れ、下側が負圧になって下向きの力を発生するが、ウイングの端ではこの負圧になった部分に空気が回り込んできて渦が発生し、有効面積が小さくなる。そこでウイングの端に空気の回り込みを防ぐ板を置き、ウイングの全面を有効に利用する。

横置きエンジン

クランクシャフトがクルマの左右方向になるように横に置かれたエンジン。こうするとクルマの前後方向のスペースが大きく取れるので、小型FF車に多く採用されている。

横風安定性

自動車が横から風を受けて進路が乱されないようとしたとき、それまでの運動がどれだけ保てるかの性能。高速走行時に切り通しやトンネルを抜けたところで横風を受けたときに車体に加わる横力やヨーイングモーメントは車体の形状によって決まる。例えばバン型とキャブオーバー型を比較するとバン型はヨーイングモーメントは小さく、車体が横に流されるだけが、バスやトラックのようなキャブオーバー型は横力、ヨーイングモーメントともに大きく進路を乱されやすい。

横型エンジン

横型機関ともいい、シリンダーが水平に置かれているエンジンのこと。シリンダーが縦に置かれている普通のエンジンを指す縦型エンジンと対照的に用いられる用語。

横力ステア

コンプライアンスステアの一つで、タイヤの接地部に横力が働いてサスペンションがたわみ、アライメントが変わってタイヤの向きが変化することをいう。

予混合燃焼

ガソリンエンジンの燃焼のように、あらかじめ空気と混合された燃料が燃え拡がっていく燃焼形態。燃料が燃えながら拡がっていく拡散燃焼と対比して使われる用語。

予燃焼室式ディーゼルエンジン

副式室ディーゼルエンジンの一種で、副室容積比35〜45%の副室と種燃焼室を小さい孔でつなぎ、副室内に燃料を吹き込んで燃焼を始めさせ、燃えつつあるガスを勢いよく主燃焼室に噴出させ、燃焼過流によって完全燃焼させるタイプのもの。

4速オートマチック

3速オートマチックにオーバードライブを加えて4速にしたAT。

4WS

四輪車の前後輪をともに操舵するシステム。

4WD

前後の四輪を同時に駆動出来るクルマ。トランスファーと呼ばれる動力を前後輪に分けて伝える装置を備え、常に四輪が駆動出来るフルタイム4WDと二輪駆動車で必要な時だけ四輪駆動出来るパートタイム4WDがある。四つのタイヤの駆動力をフルに利用できるので、急な坂や凹凸の多い悪路、滑りやすい路面などの走破性が良いことから軍用車用として普及した。アウディクワトロによってラリーカー用として優れたシステムであることが証明され、高速直進安定性が良いことから高性能スポーツカーにも多く採用されることになった。問題点として大きくハンドルを切った状態など4輪が違った速さで回転すると、これを等しくしようとする力が発生し駆動系に無理が生じることが上げられ、これを防ぐためトランスファーに差動装置を組み込むことが考えられた。この差動装置を利用して駆動力の前後配分を変えられるものもある。

1/4隋円板ばね

リーフスプリングで弓の形をした半隋円板ばねの半分を使用した形のもの。

四輪駆動車

四輪車で四輪すべてが駆動出来るクルマ。略して四駆ともいう。

四輪操舵

4WSと呼ばれ、四輪車の前後輪をともに操舵するシステム。前後輪を同じ方向に向けてクルマのヨーイングを少なくし、高速走行時の安定性を良くする同相操舵と、前後輪を逆方向に転舵して中低速時に操縦性を良くし、小回りが利くようにした逆相操舵がある。

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